2012 Fiscal Year Annual Research Report
新規MAPs複合体とアクチン繊維-小胞体ネットワークによる微小管構築機構の解析
Project/Area Number |
11J01084
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
濱田 隆宏 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 微小管 / 微小管付随タンパク質 / 小胞体 / アクチン繊維 |
Research Abstract |
昨年度に引き続き、植物における小胞体と微小管の相互作用に関する詳細な解析を行った。現在までの通説として動物におけるチューブ状小胞体の伸長は微小管に沿って行われ、植物におけるチューブ状小胞体の伸長はアクチン繊維に沿って行われるとされている。アクチン繊維を脱重合する薬剤であるラトランキュリンBを処理した場合、活発な小胞体の再編は行われなくなったが、一部の小胞体チューブの伸長が見られた。このラトランキュリンB存在下で伸長する小胞体チューブは全て微小管に沿っていることを確認した。また伸長している小胞体の全体が微小管に沿うのではなく、先端が特に強く微小管に結合していることを確認した。また微小管はアルファとベータのチューブリンダイマーが重合した極性を持った繊維であるが、ラトランキュリンB存在下で伸長する小胞体チューブは微小管の極性には関わらず伸長することを確認した。更にラトランキュリンB存在下で実際にアクチン繊維が関わっていないことを示すために、アクチン繊維をLifeact-Venusで可視化した植物体において小胞体も可視化し、アクチン繊維が見えないところで小胞体チューブの伸長が起きることを確認した。またラトランキュリンBと微小管脱重合剤であるオリザリンを同時に処理した場合、小胞体チューブの伸長が全く見られなくなった。これらの実験の各条件における小胞体チューブの伸長速度を解析すると、無処理の場合7.8±1.7胆/secであり、ラトランキュリンB存在下では0.14±0.03pm/secであった。動物細胞における微小管依存的な小胞体チューブの伸長速度は0.1pm/sec程度であり、今回のラトランキュリンB存在下での解析結果とほぼ同じであった。これらの結果により、植物細胞においても微小管依存的な小胞体チューブの伸長があることを証明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
小胞体と微小管の相互作用に関しては「微小管依存的な小胞体チューブの伸長」を発見し、想定していた以上の成果を得られた。この現象は今までに全く知られておらず、植物の微小管研究の発展に大きな影響を与えると思われる。当初予定していたMAPS複合体の解析に関して大きな進展は見られていないが、小胞体と微小管の相互作用の成果が得られたことより「おおむね順調に進展している」と評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度に明らかにした「微小管と小胞体の詳細な動態観察」と今年度の「微小管依存的な小胞体チューブの伸長」に関しては迅速に論文として発表することを目指す。MAPS複合体に関しては現在作製中の4重変異体において、明確な表現型が得られれば大きな進展が得られると考えている。変異体解析以外にも植物から精製したMAPSを用いて相互作用解析等を行う予定である。
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Research Products
(1 results)