2013 Fiscal Year Annual Research Report
免疫抑制受容体の機能阻害による牛白血病治療または防御法に関する研究
Project/Area Number |
11J01093
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
池渕 良洋 北海道大学, 大学院獣医学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | PD-1 / PD-L1 / 牛白血病ウイルス / 免疫抑制 / モノクローナル抗体 / 免疫賦活 / 細胞死 |
Research Abstract |
本研究では、家畜に免疫抑制を誘導する牛白血病ウイルス(BLV)感染症に対する新規制御法の開発を目的として、免疫抑制受容体Programmed death-1 (PD-1)とそのリガンドProgrammed death-ligand 1 (PD-L1)による免疫抑制経路の阻害薬の開発を進めてきた。その過程で開発したPD-1の可溶性組換え体が、仮説とは逆に、ウシリンパ球の免疫反応を抑制することが観察された。そこで本年度は、組換えPD-1による免疫抑制機構を解明することを目標とした。 組換えPD-1添加によるPD-L1発現細胞の細胞死は、「細胞膜上のPD-L1の架橋によって細胞死シグナルが発生する」と仮説を立てた。その解析のために抗ウシPD-L1モノクローナル抗体を作製した。本抗体及びそれに対する二次抗体をPD-L1強制発現細胞の培養系に投与することで、PD-L1の架橋を誘導した。その結果、PD-L1の架橋は、PD-L1高発現細胞の細胞死を誘導した。つまり、組換えPD-1添加によるPD-L1発現細胞の細胞死は、PD-1とPD-L1の結合を必要とせず、PD-L1の架橋によって誘導されていることが明らかになった。また、PD-L1由来細胞死シグナルが発生するモチーフを同定するために、細胞内領域を10アミノ酸ずつ削除した数種類の改変PD-L1を強制発現した細胞を作製し、解析に用いた。その結果、PD-L1の架橋による細胞死は、PD-L1の細胞内領域を必要としないことが明らかになった。つまり、本細胞死は、PD-L1に別の因子が結合することで、誘導されていることが示唆された。本研究成果は、未だコンセンサスを得られていないPD-L1由来シグナルの解明に大きく寄与すると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
(抄録なし)
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Research Products
(5 results)