2012 Fiscal Year Annual Research Report
グリオブラストーマ幹細胞におけるWnt5a/Rorシグナルの機能の解明
Project/Area Number |
11J01138
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
土井 亮助 神戸大学, 大学院・医学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | Wntシグナル / ROR / グルオブラストーマ / がん幹細胞 / 分子細胞生物学 / 脳腫瘍 / 低酸素 / 幹細胞性 |
Research Abstract |
本研究においては、グリオブラストーマ幹細胞におけるWnt5a/Rorシグォルの機能を解析することを目的としたが、前年度実績記載の通りグリオブラストーマ幹細胞の単離および培養が困難であるため、他のがん組織の幹細胞機能におけるWnt5a/Rorシグナルを解析することで、グリオブラストーマ幹細胞における当シグナルの機能解析の足がかりにすることとした。 骨肉種細胞および大腸がん細胞から、先行研究で明らかとなった幹細胞マーカーCD44/CD133により幹細胞を単離した結果、骨肉種においてはRor2が、大腸がんにおいてはRor1が高発現していることを、種々の細胞株において見出した。さらに、Ror1の発現を抑制することで、大腸がんにおいては増殖が著しく抑制されることからRor1シグナルが大腸がんの進展において重要な役割を担っている可能性が考えられた。がん組織は、過剰な増殖によりしばしば血管から隔離され低酸素状態にあると考えられ、低酸素により誘導される転写因子HIFは、がんの進展に重要な役割を担っていると考えられる。そこで、低酸素を模倣しHIFを活性化させるために塩化コバルト処理を行い、各種がんの増殖およびWnt5aおよびRor遺伝子の発現解析を行った結果、HIFの活性化は期待通り認められたもののがんの増殖やWnt5aおよびRorの遺伝子発現に大きな変化はなかった。 今後、がんに共通したRorシグナルの詳細を解明していきたいと考えており、具体的にはRNA干渉法を用いたRor遺伝子発現抑制およびRor過剰発現を行うことで、がんの幹細胞性および増殖に関わるシグナル経路を明らかにしたいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予想とは異なるものの、大きな目標である「がん幹細胞におけるWnt5a/Rorシグナルの機能解析」という意味では、着実に新たな知見を得ているため
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Strategy for Future Research Activity |
グリオブラストーマ幹細胞の単離および培養が困難であるため、他のがん組織の幹細胞機能におけるWnt5a/R,orシグナルを解析することで、グリオブラストーマ幹細胞における当シグナルの機能解析の足がかりにすることとしたが、一部のがん細胞においてはRorの機能が明らかになりつつある。そこで、Rorをグリオブラストーマ細胞で過剰発現し、グリオブラストーマ細胞の悪性化への影響を解析することでがん組織に共通したRorの機能を見出せると考えている。
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