2011 Fiscal Year Annual Research Report
疾患関連マクロファージにおける転写因子のMafBのin vivo機能解析
Project/Area Number |
11J01238
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
中村 恵弥 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 大Maf群転写因子 / MafB / マクロファージ / 動脈硬化 / 自己免疫疾患 / 核内受容体型転写因子 |
Research Abstract |
本研究では疾患に関与するマクロファージでの大Maf群転写因子MafBの機能解析を行った。また、疾患関連マクロファージで重要とされている核内受容体型転写因子とMafBとの関係についても検討した。 1.動脈硬化発症におけるMafBの機能解析 これまでの解析からMafBは脂質を含んだマクロファージ(泡沫細胞)で発現し、アポトーシス抑制因子であるAIMの発現を直接制御することによって動脈硬化発症に重要であることを発見した。今回、MafB欠損マクロファージにアポトーシス誘導を行うと野生型に比べてアポトーシス細胞が増加した。またこの増加はAIMタンパク添加によってレスキューされたことから、MafBが欠損するとAIMが減少することによってアポトーシスが促進することが分かった。また過去の報告からAIMは核内受容体型転写因子LXR/RXRの制御を受けるとされていたことから、マクロファージにおいてsiRNAを用いてLXRをノックダウンした。その結果、MafBの発現が減少したことから、MafBはLXR/RXRによる制御を受ける可能性が示唆された。以上の結果から泡沫細胞におけるより詳細な転写制御機構が明らかとなった。 2.自己免疫疾患におけるMafBの機能解析 ヒトの体内においてマクロファージによるアポトーシス細胞の除去機能に異常があると、この残骸が自己抗原となり自己免疫反応が誘導されることが報告されている。本研究によりMafBがアポトーシス細胞認識に関わるClqの構成成分であるClqa、Clqbの発現を直接制御することが分かった。また、in vitroおよびin vivoのアポトーシス細胞貪食実験の結果、MafB欠損マクロファージは貪食能が低下していた。このことから、MafBはClqの発現を制御することによってアポトーシス細胞の貪食に重要な役割を果たし、自己免疫疾患に関与することが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
各種疾患におけるマクロファージでの転写因子MafBの機能について、in vitroでの実験結果をin vivoでも検証しており論文の投稿に向けて進んでいるため、おおむね順調に進展していると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
1.動脈硬化発症におけるMafBの機能解析 投稿論文に対するリバイスに迅速に対応する。 2.自己免疫疾患におけるMafBの機能解析 Clqの減少がMafB欠損マクロファージにおけるアポトーシス細胞貪食能の低下の原因かを検討するため、レスキュー実験を行う。また、MafB欠損マウスにおける自己抗体量などを測定し、MafBが自己免疫疾患に関与しているかを生体レベルで検証を行い、論文としてまとめる。
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Research Products
(3 results)