2012 Fiscal Year Annual Research Report
ひきこもり現象の量的調査研究と原因理解-現代日本における逸脱論の新展開を目指して
Project/Area Number |
11J01288
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
井出 草平 大阪大学, 保健センター, 特別研究員(PD)
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Keywords | ひきこもり / 逸脱 / 社会病理 / 不登校 |
Research Abstract |
本研究目的は、日本に40万人規模で存在するとされている「ひきこもり」という現象の原因理解を行い、逸脱現象を扱う理論的貢献をすることである。「ひきこもり」が社会問題化されて10年あまり経つが、「ひきこもり」の規定要因を研究する研究は未だに不十分である。 今年度は、社会学と精神医学による両面からのアプローチを行った。ひきこもりを対象としている以上は、精神医学的な分析は避けることのできないトピックである。社会学的要因(属性・学校生活・職業生活など)と精神障害的要因を切り分けて分析することが今年の課題の中心となった。 精神障害については、2つの方法を行うこととした。一つは、スクリーニング・シートを使う方法である。精神医学では、精神障害の高リスク群をあぶり出すためにスクリーニング・シートを使う。 社会学ではこのツールをディメンジョナルな連続変数で表される尺度として使うことが可能である。こういった尺度を分析に導入することによって、精神障害の影響を取り出し、社会学的要因のみを取り出すことができる。 また、ひきこもりは家からでない場合があるため、尺度での計測ができないという場合がある。この場合には、精神家族歴と本人の症候から最適推定診断という方法が提案されており(Weissman2011)この手法をとることによって、精神医学的要因を切り分けることを試みた。これら手法を導入することによって、精神医学的要因を切り離した上で、社会学的要因の正確な分析ができると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
調査を顕在化している「ひきこもり」に限定して再設計して実施。代わりに周辺情報を集め、評価の精緻化を行っている。調査規模の点では、後退を余儀なくされた点もあるが、別の点では進展を示している。
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Strategy for Future Research Activity |
調査のアフターコーディングが当初計画より遅延している。本年度までに完了している予定であったが、一部来年度に持ち越すこととなったが、来年度前半には終了する予定である。
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