2012 Fiscal Year Annual Research Report
P.gingivalis気管支感染マウスにおける免疫賦活・抑制作用の解析
Project/Area Number |
11J01295
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
土門 久哲 新潟大学, 医歯学系, 特別研究員(PD)
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Keywords | 歯周病原細菌 / 誤嚥性肺炎 / 好中球枯渇マウス / ジンジパイン |
Research Abstract |
平成24年度では当初平成25年度に行う予定だったin vitroでのマクロファージ細胞内での細菌の排除能を評価する実験を行った。 C57BL/6マウス腹腔内にチオグリコレートを投与し、5日後に腹腔内を洗浄して得たマクロファージを実験に供した。1.0×10^6 cellsの腹腔マクロファージを6穴プレートにてFBS10%を含むRPMI1640培地で培養を行い、その後培地にP.gingivalis ATCC33277株もしくはそのジンジパイン欠損株であるKDP136を添加し1時間培養を行った。その後培養上清を洗い流し、メトロニダゾールとゲンタマイシンを添加したPBSを加える事でマクロファージ表面に付着した細菌を処理した。 さらに、純水にてマクロファージを処理することで細胞内に取り込まれたP.gingivalisを取り出し、血液寒天培地上で2週間培養を行った結果、ATCC33277株は、KDP136と比較してマクロファージ内での生存率が約10倍高いことが明らかとなった。ATCC33277株はプロテアーゼであるジンジパインを持ち、FBS中の非活化したC5をも分解できる能力があることから、次にFBSを含まない培地にて同様の実験を行ったところ、両菌株間の生存率はほぼ同等となった。よって、FBSの有無がP.gingivalisの生存率を左右していることが明らかとなった。一方で前年度のP.gingivalis気管支感染実験においてはこれとは逆にKDP136株の肺胞内での生存率が高い結果となっており、肺ではさらに別の因子がP.gingivalisの生存に影響している可能性や、肺胞マクロファージの特性が腹腔マクロファージと異なる可能性等が考えられる。平成25年度はその点も踏まえて明らかにする計画である。高齢者の死亡原因で上位を占める誤嚥性肺炎における口腔細菌の関与とその排除機構を解明することで同疾患の予防や治療促進の一助となることを期待する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成24年度では好中球枯渇マウスモデルの確立とP.ginglvales気管支感染を行う予定であったが、研究員の所属する大学の動物実験施設の改修工事のため下半期はマウスを用いた感染実験が行えず、当初平成25年度に行う予定だったin vitroでのマクロファージ細胞内でのBacterial killing assayを繰り上げて行ったため。
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Strategy for Future Research Activity |
前項の通り、平成25年度では動物実験施設の改修工事の終了を待って好中球枯渇マウスモデルの確立とP.gingivalis気管支感染を行う予定である。また、腹腔マクロファージと肺胞マクロファージはその細菌排除能やジンジパインに対する反応性などが異なる可能性が考えられるため、両細胞を比較するための研究も同時に行う予定である。
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Research Products
(4 results)