2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11J01339
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
熊添 基文 九州大学, 大学院・農学研究院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | がん / イメージング / 感知分子 |
Research Abstract |
緑茶のカテキンの一種であるEpigallocatechin gallate(EGCG)は植物抽出物として薬剤として初めてFDAに承認された安全性に優れた物質である。このEGCGは強い抗がん作用を有することから現在慢性リンパ性白血病(CLL)において臨床試験がなされており、投与により実際に白血病細胞数を減少させることが明らかとなった。当研究室においてこれまでにこのEGCGが細胞表面上に存在するタンパクである67 kDa Laminin Receptor(67LR)に結合することで抗がん作用を発揮することを明らかとしている。一方で近年、67LRはがんに異常発現し、がん細胞の転移や浸潤、薬物耐性に寄与することが報告されている。実際にこの67LRの発現が高い患者では予後不良である。そこで本研究はEGCGそのものを67LRに結合するという性質を維持したままプローブ化(蛍光標識化)することによって細胞表面上の67LRを迅速に測定することを目的とした。 まず,EGCGと67LRとの結合様式の解析を行った。これらの知見を基にさらにEGCGの生理活性において、重要な構造を予想した後、その構造を意図的に改変したEGCG誘導体の生理活性について、増殖抑制や結合初期におこるシグナルを評価した。これらの結果、EGCGとしての活性に重要ではない構造を確定し、リンカー構造を付加した誘導体を作成した。これらの構造のうち一つはEGCGとしての活性を完全に失った一方、その他の構造はEGCGとしての活性を維持した。興味深いことに、EGCGにある構造変化を起こさせると、EGCGとしての活性が大幅に上昇することを明らかとした。この結果は本来の目的とは異なるがEGCGを将来薬剤として改変する際に非常に重要な知見となりうる。 これらの結果を受けてEGCGに蛍光標識を付加した誘導体の細胞染色能をフローサイトメーターにて検討したところ、三つの誘導体のうち一つは全く結合しなかった一方、2つの誘導体は強力な細胞染色能を示した。さらに、非標識のEGCGと競合させた結果、1つの蛍光標識体に関して蛍光強度は非常に強力に減弱した。これらの結果を受け、この蛍光標識体について多発性骨髄腫と正常末梢血リンパ球に対する細胞染色能について検討を実施したところ、実際に多発性骨髄腫に対して強力に結合することが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
蛍光プローブ化に成功した上に天然物より活性の強い誘導体にも成功したから。
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Strategy for Future Research Activity |
生体内におけるイメージングに最適化した蛍光色素の付加体の活性評価を実施する。
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