2012 Fiscal Year Annual Research Report
風波気液界面を通しての運動量,熱,物質移動に及ぼすうねりおよび高風速の影響
Project/Area Number |
11J01490
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
岩野 耕治 京都大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 運動量輸送 / 物質輸送 / 熱輸送 / うねり / 高風速 |
Research Abstract |
地球の表面積の約7割を占める海洋と大気の間の運動量、熱および物質の移動量を正確に評価するモデルを構築することは、地球温暖化予測や台風の発生・進路予測を行ううえで、極めて重要である。しかしながら、現在一般的に用いられているモデルにはいくつかの問題があり、その信頼性は低いままである。一つ目の問題点は、現在のモデルは海洋観測により得られた各種移動量を無理やり風速のみで相関したものであり、うねりなどの風以外の要因の影響がまったく考慮されていないことである。二つ目の問題点は、高風速域において、低風速域のデータを外挿補完した信頼性に著しく欠けるモデルが使用されていることである。そこで、本研究では、高精度な測定が可能な風洞水槽を用いた室内実験により、風波気液界面を通しての運動量、熱および物質の移動量を直接測定し、うねりと高風速の問題を解決することを目的とする。本年度は以下に示す内容を実施した。 【うねり】 うねりが風波気液界面を通しての物質移動に及ぼす影響を精密に評価するために、液側バルク二酸化炭素濃度の時間変化を調べることにより風波気液界面から放散される二酸化炭素量を調べる手法を確立した。これにより、波高の大きなうねりに対しても物質輸送係数を精度よく測定できるようになった。 【高風速】 大量の飛散液滴が発生する状況においても精度よく水位変動を測定する技術を確立した。この測定技術を用い、風速40m/sまでの風速域に対して水位変動の測定を行った。また、抵抗式波高計を2台同時に用いることにより、風波の波速および波形勾配の測定を行った。その結果、波高、波周期、波形勾配、波速ともには風速20m/s程度までは風速に対して単調に増加するものの、それ以上の風速に対しては増加傾向が変化することが明らかになった。また、風波界面形状と界面における抗力係数との間には強い相関があることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
風洞水槽において、うねりおよび高風速の影響を調べるために測定技術の改善・開発を行った。さらに、その測定技術を用いて台風直下のような高風速域における水位変動を測定し、風波界面形状と抗力係数には強い関係があるとるということを明らかにした。これらの研究成果を論文にまとめるに至ったことから、研究はおおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、風洞水槽を用いて高風速域における熱および物質の輸送実験を行う。また、造波装置を用いてうねりを発生させ、運動量、熱、物質の輸送実験を行う。以上の実験より、運動量、熱、物質輸送係数におよぼす高風速およびうねりの影響を明らかにする。
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Research Products
(4 results)
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[Journal Article] Strong correlation between the drag coefficient and the shape of the wind sea spectrum over a broad range of wind speeds2012
Author(s)
Takagaki, N., Koraori, S., Suzuki, N., Iwano, K., Kuramoto, T., Shimada, S., Kurose, R., Takahashi, K.
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Journal Title
Geophysical Research Letters
Volume: 39
Pages: L23604
DOI
Peer Reviewed
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