2011 Fiscal Year Annual Research Report
新規共役七員環化合物の生物生産に向けた、ヒノキチオール生合成経路解明とその利用
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11J01520
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
原田 貴子 九州大学, 大学院・農学研究院, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ヒノキチオール / 4(8)-p-menthen-1,2,3-triol / Cupressus lusitanica |
Research Abstract |
平成23年度はCupressus lusitanica培養細胞内のヒノキチオール生合成経路解明にむけて研究を行った。 これまでに、テルピノレンから細胞由来の粗酵素反応によって1,6-epoxy-4(8)-p-menthen-2-ol(以下EMO)が生成することを証明している。この二段階の酸化反応を行うそれぞれの酵素について、活性の経時変化を調べた。ヒノキチオール生成に先立って活性が大きくなることから、これらの反応がヒノキチオール生成に関与すること示唆した。 EMOの次の中間体として予想している4(8)-p-menthen-1,2,3-triol(以下トリオール)について、合成方法と精製条件の検討を行い、これを標品として細胞抽出物中でトリオールの探索を行った。ヒノキチオール生産条件下でC.lusitanica培養細胞がトリオールを生成していることが示され、これまで予想のみだった生合成中間体が、実際に細胞内で生成することを証明した。 さらに、EMO以降の経路について粗酵素反応実験を行った。チロクロムP450酵素での反応を行ったが、トリオールもしくはEMOの酸化物は検出されなかった。以上から、EMOはチトクロムP450酵素と反応しないことが示され、今後は、異なる種類の酵素(エポキシド加水分解酵素を想定している)での実験を行なう。 また、立体制御について検討を行なうため、EMOの化学合成を行った。立体構造の制御が可能なシャープレス・香月法で合成を行い、EMOの生成に成功したが、単離条件は検討中である。 研究計画中のEMOの合成と粗酵素反応については検討中であり、トリオール以降の中間体について、ヒノキチオール生産前後で生成量が変化する物質の中から探索を行なっている。予想物質の合成と共に、標的物質の単離、分析条件について検討を行なっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画である予想生合成経路証明について、粗酵素反応での証明には至らなかったが、未証明中間体の検出を行なうなどの進展が見られた。また、当初計画していなかった酵素活性の経時変化についても成果が得られたことから、おおむね順調である。
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Strategy for Future Research Activity |
粗酵素を用いて、4(8)-p-menthen-1,2,3-triol(以下トリオール)の生成、さらにトリオールから七員環化合物への反応を試みる。これまでに報告のない物質の生成を予想していることから、中間体の検出、基質と生成物の標品取得が課題である。標品の取得は、細胞からの抽出あるいは合成での取得を想定している。トリオールの酸化による環開裂を予想していることから、酸化型酵素のアッセイ法を中心に検討する。細胞中での中間体の探索は、HPLC/MSを用いて行う。
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Research Products
(4 results)