2011 Fiscal Year Annual Research Report
シグマ結合メタセシス反応を利用した脱水素を伴う触媒的炭素-炭素結合形成反応の開発
Project/Area Number |
11J01572
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山本 浩二 大阪大学, 基礎工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 前周期遷移金属 / シグマ結合メタセシス / 脱水素カップリング / ハフニウム |
Research Abstract |
本研究は、前周期遷移金属を始めとして2族、13族金属が示すシグマ結合メタセシス反応を利用することで後周期遷移金属では達成できない様な触媒反応の開発することを目的としている。 研究従事者はハフニウムアルキル錯体を用いることで水素分子の脱離を伴う触媒的炭素-炭素結合形成反応の開発に成功し、さらにその詳細なメカニズムの検討を行った。触媒前駆体や触媒活性種の単離を行い、それらの構造を各種分光法やX線結晶構造解析によって明らかにし、さらには重水素ラベリング実験やコントロール実験を行うことで触媒反応メカニズムを検討した。本触媒反応において、シグマ結合メタセシス反応が脱水素反応や炭素-水素結合活性化を進行させており、前周期遷移金属の性質を十分に引き出すことに成功した。本研究成果は今後、さらなる触媒活性を有する錯体の設計において重要な知見となりことが期待される。 触媒的カップリング反応をより安価で毒性が低い金属で達成することが出来れば、これまでの貴金属によるカップリング反応に取って代わる研究に成りうる事からも、2族金属アルキル錯体の合成は重要な研究である。研究従事者は2族ジアルキル錯体とジイミン配位子とを反応させる事により、イミン部位のアルキル化を伴ったマグネシウムモノアルキル錯体の合成に成功した。また、マグネシウムアルミナート錯体とジイミン配位子との反応性の検討に関しても、検討を行っており、同様にイミン部位のアルキル化が進行した錯体の単離に成功した。現在このような知見を元に、新たな配位子設計に取り組み、新規マグネシウムモノアルキル錯体の合成、及び反応性の検討を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
該当年度の研究計画と比較して、当初の研究以上に進展している。特に、2族金属を用いた新規錯体合成に顕著な成果が見られた。これらの研究成果を学術雑誌や学会等で発表した実績を鑑みて、上記の評価を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
該当年度の研究成果により、有機金属錯体の合成法やその安定性に関する知見は十分に得た。今後は、これらの錯体を用いた触媒反応の開発を行っていく。まずは、炭素-水素結合活性化等の段階ごとに反応が進行するかどうかの検討を行う。これらの知見をもとに適宜、錯体の再設計を行い、触媒反応を検討していく。
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