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2012 Fiscal Year Annual Research Report

アルカリ性海底熱水噴出孔における生命前駆物質の化学進化への速度論的アプローチ

Research Project

Project/Area Number 11J01621
Research InstitutionOsaka University

Principal Investigator

坂田 霞  大阪大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)

Keywordsグリシン / 金属イオン / pH / 反応速度 / 錯体 / 海底熱水噴出孔
Research Abstract

典型的な現在の海底熱水噴出孔は,重金属に富み,酸性(pH~2),高温(<400℃)の熱水を噴出する(Tivey,2007).一方で近年,カンラン岩の蛇紋岩化で発生する塩基性(pH;9-11)の流体が噴出するロストシティー熱水(<90℃)地域や南チャモロ海山低温湧水(4-10℃)系が発見された(Kelley et al.,2005;Hulme et al.,2010).これより,初期地球の海底熱水環境もまた多様な化学組成(pH,温度,金属イオン)を呈し,それぞれの環境で異なる生命前駆物質の化学進化が起こっていた可能性が考えられる.本研究では,熱水中の金属イオンに着目し,様々なpH条件下で種々の金属イオン(Ca^<2+>,Mg^<2+>,Zn^<2+>,Cu^<2+>,Fe^<2+>,Mn^<2+>)をそれぞれ含む場合のグリシルグリシン(GlyGly),グリシルグリシルグリシン(GlyGlyGly)およびジケトピペラジン(DKP)の生成・分解速度定数を決定した.
塩基性のZn^<2+>,Cu^<2+>を含む水溶液,中性でFe^<2+>を含む水溶液を除き,金属塩を加えると,金属塩を加えない水溶液と比較してGlyGlyの生成は抑制された.金属塩を加えない水溶液と比較して,酸性下では金属塩を含む水溶液では,金属塩の種類に関わらずDKPは促進された.中性下,塩基性下では,中性でFe^<2+>を含む水溶液,塩基性でZn^<2+>を含む水溶液を除き,DKPの生成は抑制された.Cu2+を含む水溶液でのみGlyGlyGlyが生成し,塩基性で最も高い濃度を示した.また,反応速度は,金属塩はGly,GlyGly間の反応速度に数倍程度の変化を及ぼすのに対して,GlyGly,DKP間の反応速度には三桁から四桁の変化を及ぼし,金属塩はGlyGly,DKP間の反応速度を主に変化させる事が明らかとなった.Ca^<2+>,Mg^<2+>,Zn^<2+>は錯体を形成しにくく,Cu^<2+>は平面構造の錯体を,Fe^<2+>,Mn^<2+>は八面体構造の錯体を形成する.Gly,GlyGlyと金属イオンの錯体の立体構造の違いが,生成物の収量と反応速度に影響を与えると考えられる.塩基性の熱水系ではZn^<2+>とCu^<2+>が,中性の熱水系ではFe^<2+>がペプチド結合の形成を促進する可能性が考えられる.

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

平成24年度では,海底熱水噴出孔で一般的に存在する金属イオンがアミノ酸の反応速度に与える影響を評価することを目的とした.様々なpH,金属イオン存在下でアミノ酸の重合速度を求め,アミノ酸と金属イオンの錯体形成過程について考察を行った.現在,研究成果の論文を執筆中である.また,研究対象である大西洋中央海嶺玄武岩中の有機炭素の同位体分析を合わせて進めている.そのため,おおむね順調に進展しているといえる.

Strategy for Future Research Activity

平成25年度には,大西洋中央海嶺玄武岩中の有機炭素およびケロジェンの同位体比分析,分光分析を行い,海洋地殻中の微生物生態系を有機化学的研究から明らかにすることを目標とする.海洋地殻中の微生物活動の代謝エネルギー系を理解することで,生命誕生以前の初期地球海底熱水系の生命前駆物質が生命機能を獲得した過程を知るひとつの手掛かりとする.

  • Research Products

    (2 results)

All 2013 2012

All Presentation (2 results)

  • [Presentation] 海底熱水の多様性とSIPF反応速度2013

    • Author(s)
      坂田霞
    • Organizer
      生命の起源および進化学会
    • Place of Presentation
      九州大学(福岡)
    • Year and Date
      2013-03-14
  • [Presentation] 水溶液中のペプチド生成・分解速度に及ぼす金属イオン(Ca^<2+>, Mg^<2+>, Zn^<2+>, Cu^<2+>)およびpHの影響2012

    • Author(s)
      坂田霞
    • Organizer
      日本地球惑星科学連合大会
    • Place of Presentation
      幕張メッセ(千葉)
    • Year and Date
      2012-05-24

URL: 

Published: 2014-07-16  

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