2011 Fiscal Year Annual Research Report
後期社会主義時代のロシアにおける科学的無神論とロシア正教についての総合的研究
Project/Area Number |
11J01699
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
高橋 沙奈美 筑波大学, 人文社会系, 特別研究員(PD)
|
Keywords | ロシア正教会 / 科学的無神論 / ロシア:ラトビア / 世界遺産 / ツーリズム / 文化財保護 |
Research Abstract |
1、学位請求論文「ソヴィエト・ロシアの「聖」なる景観:後期社会主義ロシアの文化状況における正教的遺産の役割」を平成23年8月に提出、同年12月に博士(学術)の学位を取得した。 2、ヴォルガ中下流域、ラトビア、アルハンゲリスク、ソロフキ諸島において、聞き取り調査及び資料収集を行った。 (1)科学研究費補助金基盤研究(A)「ヴォルガ文化圏とその表象をめぐる総合的研究」の調査旅行に参加し、ヴォルガ中下流域にて、資料収集を行った。これは冬季の調査に向けての予備調査であったが、あらかじめ予想していた以上に興味深い資料の出る可能性は、この時点では感じられなかった。 (2)10月に参加したリガの宗教学会で、ダウガフピリス大学のオーラルヒストリー研究センター代表から、ラトビアの農村部における無神論政策と宗教的実践についてのインタビュー資料を紹介された。(1)の状況も考慮に入れ、冬季の調査をラトビアに変更し、平成24年1-2月に、ダウガフピリス大学でこれらの資料提供を受け、ラトビアで教会組織の状況などについて補足の資料収集を行った。 (3)平成24年2月に、アルハンゲリスクにおいて文化啓蒙施設と無神論の宣伝・実施状況及びに教会組織の状況について、ソロフキ諸島において世界遺産登録に伴う宗教文化財の管理問題について、それぞれ聞き取り調査及び資料収集を行った。 3.成果報告 (1)学会報告に関しては、国際学会で5回にわたる報告を行い、国内では研究会を組織し、かつ報告をすることができた。その結果、本研究と類似の研究に取り組む国内外の研究者との知遇を得、最新の研究成果を知るためのネットワークを構築することができた。 (2)雑誌論文については、博士論文のうち未公表の部分を中心に発表した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前期の内に博士論文を完成させた。後期は、ロシアおよびラトヴィアで現地調査を行い、聞き取り調査及び資料収集を行った。調査対象地に変更があったものの、おおむね実施計画に従った調査を行うことができた。 また、成果報告についても、6回にわたる学会報告、2本の論文投稿、学術図書に対して1本のエッセイを寄稿し、計画以上の活動を行うことができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
無神論教育やイメージの普及と宗教的実践・教会の状況を調査の2本柱として、現地調査を行う。これまで通り、現地研究者やこの問題に取り組む国内外の研究者との交流を続け、学会動向を把握する。さらに、受入研究者との研究打ち合わせを密に取り、理論的な考察を深められるよう積極的に取り組む。 また、調査対象地の変更に伴い、初歩的なラトビア語の習得とラトビアの宗教・文化・民族状況について知見を深める必要がある。
|