2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11J01731
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
安東 遼一 九州大学, 芸術工学研究院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | コンピュータグラフィックス / 流体力学 |
Research Abstract |
本年度では,アダプティブな流体シミュレーションのフレームワークについて研究を行った.本研究の目的は「水」の表面(界面)の変化を正確に捉えられるアルゴリズム(界面追跡法)を開発することである,全年度では水を粒子にて追跡し,その粒子を分断・結合して水の薄膜の界面追跡基礎モデルを確立した.本研究ではFLIPと呼ばれる流体解析法を用いて粒子の挙動を決定している.FLIPでは,格子にて流速を計算し,格子の解像度でシミュレーションの解像度を調整することができる.しかし,この流体ソルバの解像度は一様に保たれたままなので,分裂を繰り返した粒子の挙動を正確にシミュレーションするのは困難であった.そこで,本年度では,様々なサイズの粒子に合わせて格子の解像度を変更できる「アダプティブ流体シミュレーション」の開発に取り組んだ.アダプティブ流体シミュレーションでは粒子のサイズを自由に変更できるので,正確な計算が不要な箇所(例:水の深部,視点から離れた場所)で計算を飛躍的に減らすことができ,大規模な流体シミュレーションが可能になった 具体的な内容は大きく(1)四面体メッシュでの圧力式の計算手法の確立と(2)粒子の新しい界面抽出法の考案である。前者では、四面体のノードに圧力サンプルを置きいて中心の流速を定義する手法の考案と、この離散系のもとでの圧力式を運動量の最小化問題に置き換えて効率よく計算する方法の成功、また、この新しい離散系で2次精度の境界条件を組み込む手法の提案である。後者では界面での粒子の大きさが変わる際に小さな凹みが発生するという問題への解決策であり、複数の粒子をすっぽり覆うようなコンベックスハルを計算し、この陰関数から界面を抽出することで解決した。これらの成果を論文にまとめ、平成25年1月に国際会議SIGGRAPH2013のTechnical Papersに投稿した。4月初旬の時点でcondiionally acceptedの状態であり、現在リビジョン中である。すべての問題をクリアできれば7月に米国で開催されるコンピュータグラフィックスの国際会議SIGGRAPH2013での論文発表、および、同時に論文誌ACM Transaction on Graphics(TOG)に掲載されることが見込まれる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
アダプティブな流体シミュレーションを用いることで計算効率を大幅に短縮でき、また、グラフィックス表現のクオリティを大きく向上させることができた.平成23年度の成果をまとめた論文を掲載したIEEEの論文誌TVCG(vol.18,no.8)が刊行され、また、新しく24年度の成果をまとめた論文はコンピュータグラフィックス研究として最難関と言われる国際会議SIGGRAPHおよびACMの論文誌TOGに採択される見通しである。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の発展として,液体だけでなく煙や炎,弾性体とのカップリングが考えられる.また表面張力を導入することによって液体のさざ波のディテールの向上も考えられる.本研究のアダプティブ流体シミュレーションはCGだけに特化したものでなく,他分野(例:航空力学や気象学)など実用的な精度が求められる分野へ応用が期待でき,アルゴリズムの汎用化も課題の一つである.
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Research Products
(2 results)