2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11J01795
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
柳 輝希 北海道大学, 大学院・医学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 表皮細胞 / 有棘細胞癌 / アポトーシス / カスパーゼ / ABCA12 |
Research Abstract |
特別研究員採用1年目である今年度は、国内(北海道大学)および海外共同研究機関(米国サンフォード・バーナム医学研究所)にて研究を実施した。国内の研究では、遺伝性皮膚疾患モデルマウス表皮細胞(ABCA12欠損マウス)を用いて、その不死化細胞を樹立した。また疾患モデルマウス新生仔皮膚の皮膚移植実験を実施し、その方法について理解・習得した。また移植皮膚の病理学的検討を行い、移植後の表皮組織の構造変化について解析を行った。今後、この不死化細胞および移植皮膚片を用いた発癌実験を試みる予定である。海外機関での研究では、表皮角化細胞および他の癌細胞を用いて、アポトーシス誘導による癌細胞に対する治療を試みた。具体的には、デスシグナル(Fas,TRAIL)によるアポトーシスを増強するような分子をPPC-1細胞を用いたSiRNAスクリーニング法により約30遺伝子を同定した。この中から数個の遺伝子選び、その遺伝子に対するSiRNA導入(もしくはレンチウイルスによるShRNAの導入)によるアポトーシス増強効果の確認、Caspase8の活性化の検出、デスレセプター以外の経路によるアポトーシス効果の検討を行った。候補分子のいくつかは、デスレセプター経路特異的にCaspase8を活性化していることが分かった。これらの分子をターゲットにしたSiRNAや阻害剤の開発は、将来的にTRAILなどのデスレセプターを介した癌治療に律立つ可能性がある。学会発表については、平成23年4月、第110回日本皮膚科学会総会にて遺伝性角化症についての教育講演「角化症の病態と遺伝子診断」を行った(東日本大震災のため誌上にて発表を行った)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画した内容に沿って、おおむね順調に研究結果がでている。不死化細胞の樹立および皮膚移植術の習得によって、今後の癌化機構解析の準備ができた。また海外機関との共同研究によってアポトーシスを利用した癌治療戦略について学ぶことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
樹立した初代培養不死化細胞を用いて、癌遺伝子の導入などの方法で、コントロール細胞と悪性度(増殖能・転移能など)を比較していく予定である。海外機関での研究については、免疫沈降法・酵母2ハイブリッド法などを用いてアポトーシス機序の検討をしていく予定である。
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