2012 Fiscal Year Annual Research Report
イネの生殖細胞特異的に機能するARGONAUTEタンパク質の分子機構の解明
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11J01818
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Research Institution | National Institute of Genetics |
Principal Investigator |
小宮 怜奈 国立遺伝学研究所, 実験圃場, 特別研究員(PD)
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Keywords | 生殖 / small RNA / 長鎖non-coding RNA / Argonaute |
Research Abstract |
MEL1は、生殖細胞の発生や減数分裂に機能するArgonaute(AGO)遺伝子である。AGOはsmall RNAと結合し、サイレンシング経路に関与していることから、MEL1がsmall RNAと結合し、生殖細胞の発現制御系の中心で機能する可能性が高い。平成24年度は、長鎖non-coding RNAを前駆体としたMEL1と結合するsmall RNA(MEL1-small RNA)の生合成経路について解析を進めた。 (1)新規長鎖non。coding RNAの網羅的な同定と機能解析 RNA-sequenceにより、771種の新規な長鎖non-coding RNAを同定した。さらに、これら長鎖non-coding RNAのイネ生殖期における機能を明らかにするため、TOS17挿入変異体30系統の稔性評価、及び、RNAiによる抑制個体を作出した。 (2)MEL1-small RNA生合成経路 情報解析、microRNA発現解析、RACE法により、下記のMEL1-small RNAの生合成経路を明らかにした。生殖初期に遺伝子間領域から、転写される長鎖non-coding RNAは、microRNA2118の切断、Dicer like protein(DCL)による21塩基毎の規則的な切断を受け、21塩基長のphased small RNA(phasiRNA)生成される。MEL1は、5'末端がシトシンのphasiRNAを特異的に認識し結合、生殖細胞の発生を維持していることが明らかとなった。 現在、長鎖non-coding RNAを前駆体としたMEL1-phasiRNAの新規な生合成経路に関する論文を執筆し、投稿準備を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
RNA-sequenceにより、771種の新規な長鎖non-coding RNAを同定し、さらに、これら長鎖non-coding RNAを前駆体としたイネ生殖MEL1-small RNAの生合成経路を明らかにしたことから、おおむね研究は順調に進んでいると評価した。また、Argonaute-small RNAのRNA-免疫沈降法に関する著書の執筆を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は、昨年に作成した長鎖non-coding RNA抑制個体・TOS17挿入変異体の発現解析、及び、稔性評価・減数分裂観察を行い、生殖特異的な長鎖non-coding RNAの機能解明を試みる。 さらに、生殖non-coding RNAが転写する領域,MEL1-small RNAのクラスタ領域のDNAのメチル化を、PBATバイサルファイトシーケンスにより、ゲノムワイドに解析し、長鎖non-coding RNAの転写やMEL1-small RNAの機能に関与するエピジェネティックな制御メカニズムの解明を試みる。
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Research Products
(5 results)