2013 Fiscal Year Annual Research Report
イネの生殖細胞特異的に機能するARGONAUTEタンパク質の分子機構の解明
Project/Area Number |
11J01818
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Research Institution | National Institute of Genetics |
Principal Investigator |
小宮 怜奈 沖縄科学技術大学院大学, サイエンス・テクノロジーグループ, 特別研究員(PD)
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Keywords | 生殖 / small RNA / 長鎖non-coding RNA / Argonaute |
Research Abstract |
MEL1は、生殖細胞の発生や減数分裂に機能するArgonaute (AGO)遺伝子である。AGOはsmall RNAと結合し、サイレンシング経路に関与していることから、MEL1がsmall RNAと結合し、生殖細胞の発現制御系の中心で機能する可能性が高い。平成25年度は、MEL1の局在解析、及び、MEL1と結合するsmall RNA (MEL1-small RNA)の前駆体, 長鎖non-coding RNAの機能・制御機構解明を試みた。 (1)イネ生殖細胞を用いたMEL1局在解析 MEL1は、主に細胞質に局在し、減数分裂期レプトテン期に、一部のMEL1が核内に局在した。mell変異体のレプトテン期には、シナプトネマコンプレックスの構成因子, ZEP1の局在異常がみられた。MEL1が、核内で減数分裂の進行制御に関与している可能性が示唆された。 (2)新規長鎖non-coding RNAの同定と機能解析 RNA-sequenceにより、771種の新規長鎖non-coding RNAを同定した。さらに、これら長鎖non-coding RNAのイネ生殖における機能を明らかにするため、TOS17挿入変異体54系統の稔性評価、及び、RNAiによる抑制個体を4系統作出した。 (3)長鎖non-coding RNA領域のDNAメチル化解析 栄養成長期(葉)と生殖成長期(葯)を用いて、長鎖non-coding RNAの周辺領域のゲノムワイドなDNAメチル化解析を行った。本年度までに、シーケンシング、及び、イネゲノムへのマッピングを終了し、現在、2サンプル間における771カ所のDNAメチル化度合いを比較し、non-coding RNAの発現制御に関与する領域を探索している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
長鎖non-coding RNAを前駆体としたMEL1-phasiRNAの新規な生合成経路に関する論文を執筆し、国際的に著名な科学雑誌The Plant Journalに受理された。また、MEL1-small RNAのRNA-免疫沈降に関する実験プロトコールを執筆したことから、おおむね研究は順調に進んでいると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
長鎖non-coding RNAのTOS17挿入変異体, 54系統の稔性調査を行ったが、生殖に関与する有為な差異がみられなかった。そのため、相同組換えにより、広範囲に及ぶnon-coding RNA領域欠失変異体を作出し、生殖特異的な長鎖non-coding RNAの機能解明を試みる。また、平成25年度に引き続き、生殖non-codng RNAが転写する領域のDNAのメチル化を、PBATバイサルファイトシーケンスにより、ゲノムワイドに解析し、長鎖non-coding RNAの転写やMEL1-small RNAの機能に関与するエピジェネティックな制御メカニズムの解明を試みる。
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Research Products
(3 results)