2011 Fiscal Year Annual Research Report
透過型電子顕微鏡を用いた抵抗変化型メモリの動作機構解明の研究
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11J01822
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
藤井 孝史 北海道大学, 大学院・情報科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 抵抗変化型メモリ / 酸化物 / 固体電解質 / 透過型電子顕微鏡 |
Research Abstract |
抵抗変化型メモリ(ReRAM)は金属酸化物材料薄膜や固体電界質薄膜の抵抗変化現象を利用したメモリで、微細化・高集積化可能、低消費電力、不揮発性の機能を有した次世代メモリとして期待されている。しかしながら、ReRAMは記憶保持の原理である「薄膜の抵抗変化」の物理的なメカニズムが明らかになっていない。ReRAMを実用化するためには、その信頼性保障のため、抵抗変化の物理的なメカニズムを解明することは不可欠である。この抵抗変化は薄膜中の構造と抵抗変化には密接なかかわりがあると考えられ、薄膜の構造観察は抵抗変化メカニズムを解明に大いに貢献できる。そこで、本研究は、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて抵抗変化材料の構造観察と伝導特性を同時に行う『TEM内同時観察』を行い、抵抗変化材料の内部構造に着目して抵抗変化の物理的な原理解明に迫った。 2種類の固体電解質材料に対して、TEM内同時観察を行い、抵抗変化機構について検証した。ひとつ目のサンプルとして、単層固体電解質薄膜のCuGeSを用いた。TEM観察中に1-Vヒステリシス特性を取得することに成功した。同時にCuGeS薄膜内にフィラメントの形成と消失する様子を観察することができた。フィラメントを電子線回折やエネルギー分散型X線分光による分析をしたところ、Cuがフィラメントの主成分であることが分かった。二つ目は、絶縁膜/固体電解質2層構造のサンプルについてTEM内同時観察を行った。電圧印加の際に、固体電解質層内に析出物が現れ、抵抗が変化する様子が観察された。析出物の主成分はCuであり、固体電解質層内のCuが電界によって動いていることが実験的に捉えることに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
固体電解質材料において、抵抗変化時の伝導パスの形成と消失を明確に捉える事が出来た。特に、伝導パス消失の過程を観察できたことが大きな進展であった。
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Strategy for Future Research Activity |
実用メモリデバイスの利用を念頭に置いて、保持特性、繰り返し特性の取得を行うことが必要であると考えている。そのためには、より実用に近い形のTEM観察用サンプルの作製が必要である。
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Research Products
(15 results)