2011 Fiscal Year Annual Research Report
有機金属気相選択成長法による化合物半導体ナノワイヤの太陽電池応用
Project/Area Number |
11J01867
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
吉村 正利 北海道大学, 大学院・情報科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ナノワイヤ / 化合物半導体 / 有機金属気相選択成長 / 太陽電池 |
Research Abstract |
当該年度は当初の予定通り、ナノワイヤアレイ太陽電池作製プロセスの確立及び発電動作の確認、表面パッシベーションの検討を行った。 デバイスプロセスの確立にあたっては、異常成長結晶やナノワイヤ成長部周囲に存在する膜成長部からのリークが懸念事項であった。この問題を解決する為に、厚膜レジストマスクによってRIEでドライエッチングするBCB絶縁層をナノワイヤ成長部に限定する選択RIE法を提案した。これにより、周辺の膜成長部がBCBによって絶縁されるのでリークの発生を抑制した。異常成長結晶に対しては、RIEで頭出しする高さを少なくすることでリークを回避した。これらの改善により、整流特性の優れたナノワイヤアレイ太陽電池作製の歩留まりを大きく向上することができ、作製プロセスを確立した。 作製プロセスを確立した後、ソーラーシミュレータにより発電機能を確認した。成長温度や原料供給量を最適化し、デバイスプロセスを改善したことで、6%以上の変換効率(active area efficiency)を達成した。これはボトムアップ型のナノワイヤアレイ太陽電池においては世界トップレベルの記録である。さらに、n型InPシェル層の窓層として、InPに対して価電子帯側にバンドギャップが広がるAlInPを提案した。AlInPはInPに対して格子不整合系材料であるが、パッシベーション層として機能するのに必要な膜厚とAl組成では、臨界膜厚を超えないことが文献調査により判明した。AlInPはInGaP薄膜太陽電池の窓層として実績があるが、格子不整合系、さらにはナノワイヤアレイ構造での適用例は未だない。そこで、AlInP窓層によって短波長側での量子効率が改善するかどうか、また、高分解能透過型電子顕微鏡像の解析により、AlInP/InPヘテロ構造の結晶性を今後調べる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ナノワイヤアレイ太陽電池作製プロセスの確立および発電機能の確認は達成したが、パッシベーション層については検討段階に留まっている。しかし、並行して今後行う予定のシミュレーションを進めているので、全体的にみるとおおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後については、計画通り電磁界解析シミュレーションによりナノワイヤアレイの最適構造を設計するとともに、パッシベーション層の効果についても解析する予定である。また、それと並行してAlInPパッシベーション層を適用したナノワイヤアレイ太陽電池を作製し、量子効率測定及び高分解能透過型電子顕微鏡解析によりその効果を確かめる。
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Research Products
(4 results)