2012 Fiscal Year Annual Research Report
有機金属気相選択成長法による化合物半導体ナノワイヤの太陽電池応用
Project/Area Number |
11J01867
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
吉村 正利 北海道大学, 大学院・情報科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ナノワイヤ / 化合物半導体 / 有機金属気相選択成長 / 太陽電池 |
Research Abstract |
当該年度は、InPナノワイヤアレイ太陽電池に適用する表面パッシベーションの実証を行った。 ナノワイヤアレイ構造は膜構造と比較すると、体積に対する表面積が非常に大きい。その為、入射光で励起された少数キャリアが表面で失われる表面再結合という現象の影響が大きく、発電効率の低下が懸念される。 本研究ではナノワイヤ太陽電池の高効率化を目的とし、表面再結合を抑制するパッシベーション構造の提案と実証を行った。表面パッシベーションの材料には、表面側のシェル層であるn型InPに対して低い伝導帯障壁と高い価電子帯障壁を持つAlInPを用いた。減圧MOVPE法により、コア層となるp型InPナノワイヤを成長させた後、成長温度を下げてV/III比を高くしてn型InPシェル層、n型AlInPパッシベーション層、n型InP酸化防止層を連続して形成した。走査型電子顕微鏡、透過型電子顕微鏡を用いた構造解析により、AlInP層が均一良く形成されていることが判明した。電流密度一電圧特性を測定した結果、パッシベーション層の形成により、短絡電流密度が17.3mA/cm^2から23.4mA/cm^2に、'開放電圧が0.37Vから0.46Vに増加し、発電効率が3.6%から6.4%に改善した。量子効率の測定結果により、450-850nmと広い波長域で内部量子効率が改善していることが判明した。より深部で吸収される長波長域での内部量子効率は、ナノワイヤ側面での表面再結合を抑制していることを示す。 これらの結果から、InPナノワイヤ太陽電池の改善にAlInP表面パッシベーションが有効であることを示すことが出来た。表面再結合の抑制方法であるパッシベーション法を確立し、ナノワイヤ太陽電池の発展に貢献する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度の研究実績報告書で提出した研究推進方策に基づき、パッシベーション層を適用したナノワイヤアレイ太陽電池の作製と評価を行い、パッシベーション層の効果を確認できた為である。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は、より簡便な構造で低コスト化が見込めるITO/p-InPヘテロ接合型の実験的研究を行う。セルの作製と特性評価に加え、物性解析を行う予定である。
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Research Products
(7 results)