2012 Fiscal Year Annual Research Report
原始惑星系円盤形成期における物質進化の理論的研究:星間物質から惑星系物質へ
Project/Area Number |
11J02024
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
古家 健次 神戸大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 原始惑星系円盤 / 星間化学 / 星・惑星系形成 |
Research Abstract |
分子雲コアの自己重力収縮により、原始星と星周円盤が形成される。星周円盤の固体・ガス物質は惑星やその大気の材料であるため、それらの分子組成を明らかにすることは重要である。本研究は星周円盤における分子組成進化を理論的に明らかにすることを目的とする。 今年度は、乱流による鉛直方向のかき混ぜが、星周円盤における水(気体及び固体)の存在量の空間分布に与える影響を調べた。また、水の重水素比(HDO/H_2O比)に乱流かき混ぜが与える影響についても同様に調べた。主要な結果は以下の通りである。 (i)スノーライン以遠では水は主にダスト上に氷マントルとして存在する。乱流により、円盤上空に巻き上げられたダストは、中心星からの紫外線照射により氷マントルを破壊される。この過程により、ダスト温度の高い円盤内側(T>50K、r<20AU>では、乱流を考慮しない場合と比べて、柱密度にして最大で2桁程度、H_2O氷が欠乏しうる。比較的ダスト温度が低い円盤外側では、氷マントルの再形成が効率的に起こるため、H_2O氷の欠乏は起こらない。 (ii)原始星周りのエンベロープで観測される水の重水素比は典型的に10^<-3>-10^<-1>程度であり、彗星の水の重水素比(~3X10^<-4>)と比べて二桁程度高い値を持つことが知られている。しかし、その違いを定量的に説明するモデルはこれまでなかった。本研究では、上記の氷マントルの破壊・再形成プロセスにより、彗星形成領域と考えられているr=20-30AUにおいて、水の重水素比は、初期値が10^<-2>程度であっても、彗星の水の重水素比程度まで減少しうることを示した。これは彗星の水が星間空間起源ではなく、原始太陽系円盤において形成された可能性を支持する結果である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、化学反応項を含む拡散方程式を高速に解くコードを開発し、それを用いて、星周円盤における乱流によるかき混ぜが、水とその重水素比に与える影響を明らかにできた。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度開発したコードに、動径方向め質量輸送(降着、乱流による半径方向のかき混ぜ)の効果を組み込み、より現実的な円盤化学モデルを構築することを目指す。
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Research Products
(6 results)
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[Journal Article] Chemistry in the First Hydrostatic Core Stage by Adopting Three-Dimensional Radiation Hydrodynamic Simulations2012
Author(s)
Furuya, K., Aikawa, Y., Tomida, K, Saigo, K., Tomisaka, K., Hersant, F., & Wakelam, V.
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Journal Title
The Astrophysical Journal
Volume: 758
Pages: 86-105
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] DNC/HNC Ratio of Massive Clumps in Early Evolutionary Stages of High-Mass Star Formation2012
Author(s)
Sakai, T., Sakai, N., Furuya, K., Aikawa, Y., Hirota, T., & Yamamoto, S.
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Journal Title
The Astrophysical Journal
Volume: 747
Pages: 140-149
DOI
Peer Reviewed
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