2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11J02074
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
堀 祐臣 北海道大学, 大学院・情報科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | AlGaN / GaN / MOS / 界面 / C-V |
Research Abstract |
AlGaN/GaN異種接合トランジスタによる次世代電力変換素子を実現するには、金属/絶縁膜/半導体(MOS)接合による絶縁ゲート構造が必要不可欠である。平成23年度は、(1)Al_2O_3/AlGaN/GaN MOS構造の容量-電圧(C-V)特性の厳密計算と、(2)作製したMOS構造の界面特性評価、(3)MOS界面制御プロセスによる界面準位密度の低密度化を試みた。 (1)20nm-Al_2O_3/25nm-Al_<0.26>Ga_<0.74>N/GaN構造C-V特性の厳密計算を行った。電圧を負に印加し、電子チャネルの空乏によってゲート容量が減少し始めるとき、すなわちしきい値電圧付近においてはフェルミレベルはAl_2O_3/AlGaN界面準位の下方に位置している。室温下の測定においては大部分の界面準位がその荷電状態を変化させないため、通常のC-V測定ではMOS界面評価が難しいことがわかった。 (2)そこで、しきい値電圧よりも負バイアス側で電圧を固定したまま、外部から単色光の照射を行うことで界面準位から光エネルギーに相当する範囲の電子を放出させ、C-V測定を行ったところ、放出した電子の電荷密度に対応したしきい値電圧のシフトを観測した。また、異なる波長の単色光を用い、それぞれのしきい値電圧シフトの差から界面準位密度を見積もったところ、良好に制御されたAl_2O_3/GaN界面と比較してAl_2O_3/AlGaN界面準位は1桁程度高密度であることがわかった。 (3)単色光照射によるしきい値電圧シフト量は放出した電子密度、すなわち界面準位密度に比例するはずである。そこで、N_2Oラジカル処理をAlGaN表面に適用し、同様な評価を行ったところ、しきい値電圧シフトが減少し、界面準位の低密度化を確認できた。一方で、Al_2O_3/GaN界面と比較して依然と高密度であったことから、さらなる制御と評価が必要であることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
AlGaN/GaN MOS構造における界面準位の評価方法を確立し、また界面特性制御プロセスの効果を上記の実験により確認できたため、平成23年度の研究項目についてはおおむね達成されたと思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで研究により、AlGaN/GaN MOS構造における界面準位の評価と制御が可能となった。しかし、今回評価を行ったAl_2O_3/AlGaN界面準位はAlGaN禁制帯中央近傍の限られた領域内の準位であり、伝導帯側に位置する浅い準位の評価が必要である。また、これらの浅い準位はAlGaN/GaNMOSトランジスタの電気特性に大きく影響を与えると考えられる。そこで、次年度以降は浅い準位の評価方法の確立し、トランジスタの作製と評価を行うことで電気特性と界面準位の関係を明らかにする。
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