2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11J02074
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
堀 祐臣 北海道大学, 大学院・情報科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | GaN / MOS / トランジスタ / 界面 / 電子準位 |
Research Abstract |
絶縁ゲート型GaN系異種接合トランジスタ(HEMT)が抱える動作信頼性・安定性劣化の問題は、絶縁膜/半導体(MOS)界面の電子捕獲準位が主な原因の一つと考えられている。しかし、MOS-HEMTは2つ以上の界面を有する複雑な構造であるため、MOS界面のみの評価を行うことは難しく、準位密度に関する具体的な報告例がほとんど無いまま、デバイス特性への影響が議論されているのが現状である。そこで、平成24年度は、(1)Al_2O_3/AlGaN/GaN MOS-HEMTの容量-電圧(C-V)法によるMOS界面準位評価手法を確立し、(2)界面準位がMOS-HEMTの電気特性に与える影響についての評価を行った。 (1)C-V法による電子準位評価を行うには、測定時に応答する準位のエネルギー深さを知る必要があるが、Al_2O_3/AlGaN/GaN構造は2つの界面を有するため、容量値からエネルギーを求めることは難しい。そこで、C-V測定時の交流電圧周波数を変化させ、測定周波数依存性から界面準位の評価を行う手法を考案した。周波数に対する界面準位の応答率とエネルギー深さの関係はShockley-Read-Hallモデルに従うため、C-V特性の測定周波数依存性からエネルギー深さを推定することが可能である。これにより、Al_2O_3/AlGaN/GaN MOS構造におけるAl_2O_3/AlGaN界面準位について、室温での電子放出時定数が10^<-6>~10^<-3>秒に対応する、比較的エネルギーの浅い界面準位密度の定量評価が可能となった。 (2)上記の評価に基づき、MOS界面準位密度が異なるMOS-HEMTを作製し、電気特性の比較を行った。熱平衡時にはAlGaN/GaN界面に蓄積している電子がMOS界面付近を走行するような場合に、界面準位により電子移動度が低下し、ドレイン電流が減少することを明らかにした。移動度低下は、Al_2O_3膜堆積前のAlGaN表面処理によって界面準位密度を低減することで抑制できることを明らかにした。準位密度の定量評価に基づいたデバイス特性の議論は、本研究が初めてである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Al_2O_3/AlGaN/GaN MOS-HEMTにおけるMOS界面準位の評価方法を確立し、界面準位の定量評価に基づいた電気特性の議論を進めることができたため、平成24年度の研究項目についてはおおむね達成されたと思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究により、GaN系MOS-HEMTの電気特性に与えるMOS界面準位の影響を定量的に評価することが可能となった。一方で、MOS界面準位は半導体表面処理プロセスのみならず、GaN系半導体結晶成長プロセスにも強く依存すると思われる。従って、今後は結晶成長を含めたデバイス作製のあらゆるプロセスに関して、MOS界面準位とデバイス特性の議論をすることが重要であると考える。これにより、MOS界面以外の異種接合界面が与えるデバイス特性への影響を議論することが可能となる。
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