2013 Fiscal Year Annual Research Report
ボトルネック中の粉体輸送と熱雑音が誘起する亜臨界破壊に関する計算統計物理学的研究
Project/Area Number |
11J02102
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
吉岡 直樹 京都大学, 基礎物理学研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | 統計物理学 / 非平衡現象 / 粉体 / 輸送現象 / 蠕動運動 / 破壊 / 緩和現象 / べき分布 |
Research Abstract |
本研究では、統計物理学の立場から生物学や工学、地球物理学といった分野における非平衡現象のメカニズムを明らかにすることを大きな目標として掲げている。特に、(1)ボトルネック中の粉体輸送と(2)熱雑音が誘起する亜臨界破壊について研究を行った。 ボトルネック中の粉体輸送の研究としては、本年度は、昨年度のモデルついてより詳細に調べた。まず、(a)相としては3つ存在することが分かった。すなわち、unjammed flow相、plug相、そしてtrapped flow相である。(b)unjammed flow相は外力が小さいときに観られ、流量は負となる。(c)plug相は外力が中程度のときに観られ、壁が変形して粉体が局在化した状況である。さらに、(d)外力が十分大きいときに、別のtrapped flow相が存在することを見出した。この相においては、粉体粒子の多くは中心部で固化しており、それら粒子と壁との間にある1層の粉体粒子がベアリングのような働きをすることで、中心部の固化した粒子を効率よく運ぶということが分かった。また、(e)壁の固さを変化させたところ、これら3つの相が存在するという定性的な性質については変化が見られなかったが、相転移点が定量的に変化することが分かった。また、(f)壁の固さを強くすると、trapped flowでのみ流量が減少し、他の相では流量はほとんど変化しないことが分かった。この成果については日本物理学会の年次大会で報告した。 亜臨界破壊については、熱活性ファイバーバンドル模型と呼ばれるモデルによる研究を行った。昨年度提案した新しいアルゴリズムの計算時間を調べたところ、(i)強度の乱れの分布が一様分布でもWeibull分布でも応力を下げると一定時間に収束していくことを見出した。また、(ii)ファイバーの数を増やすと、その2乗で計算時間が増加することも分かった。この成果についてはPhysical Review Eに投稿した。また、(iii)eqllal load sharingの場合について系の寿命のArrhenius則を導出した。これは前述のアルゴリズムによるシミュレーションでも確かめられた。(iv)Local load sharingの場合にも、乱れがない時と同様、システムサイズ依存性を考慮した修正Arrhenius則の仮説がうまくいくことも確かめた。
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Strategy for Future Research Activity |
(抄録なし)
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