2012 Fiscal Year Annual Research Report
小型魚類メダカをモデルとした脊椎動物の味覚情報伝達経路および中枢認識回路網の解析
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11J02194
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
家木 誉史 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | WGA / メダカ / 味覚受容体 / PLC-beta2 |
Research Abstract |
食品の味覚情報伝達経路の高次中枢までの可視化および、2種以上の味情報の中枢での統合の有無の解明を目的とし、小型魚類メダカをモデルとして使用した。メダカの旨味・苦味を含む味蕾細胞で発現しているPLC-β2遺伝子の制御下で神経トレーサーであるWGAを発現するトランスジェニック(Tg)メダカ(PLC-β2-WGA Tgメダカ)を作出し、WGAタンパク質の輸送解析を経時的に行った。既に昨年度の成果から、稚魚では味神経および延髄領域までしか輸送が見られなかったWGAタンパク質が、3か月齢、さらに9か月齢になると間脳や終脳といった高次中枢領域の複数の神経核でWGAタンパク質が観察され、検出されたWGAタンパク質のシグナル強度も強まることが明らかとなった。 本年度は、昨年度までに解析したWGAタンパク質の組織染色とともに、神経細胞を染色する対比染色としてNissl染色を同時に行い、WGAタンパク質の存在部位の神経核内での局在および染まっている組織が神経細胞なのか繊維なのかを詳細に解明した。その結果、WGAタンパク質は、味覚2次中枢であるNGSでは、内側部と外側部にWGAの局在が見られ、3次中枢の一つであるNDLIにおいては、表層部に局在していることが明らかになった。さらに、WGAタンパク質は神経細胞だけでなく、一部の神経線維にも輸送されていることが明らかとなった。 今後は、メダカの味神経や味覚中枢の局在マーカーとなりうる遺伝子群を詳細に探索し、有効なマーカーが見つかり次第WGAタンパク質との局在を解析する予定である。 また、旨味受容体遺伝子や、酸味受容体候補遺伝子の5'上流域の配列の下流にWGAおよび蛍光タンパク質GFPを接続したコンストラクトを作製した。メダカに微量注入することにより新たなTgメダカを作出した。今後、GFPの蛍光とin situハイブリダイゼーション法によりWGA mRNAの発現細胞を解析することにより転写制御領域として機能しているかを判断する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究成果を論文化するのに時間がかかってしまったため。
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Strategy for Future Research Activity |
メダカの味神経や味覚中枢の局在マーカーとなりうる遺伝子群を探索する。解析に有効な局在マーカーが見つかり次第WGAタンパク質との局在を解析する予定である。また、作出したTgメダカにおいて、今後GFPの蛍光とWGAmRNAの発現細胞の局在を解析することにより取得した配列が転写制御領域として機能しているかを判断する予定である。
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Research Products
(1 results)