2011 Fiscal Year Annual Research Report
視覚システムにおける実時間移動物体検出のための照明変動に頑健な動的背景モデル構築
Project/Area Number |
11J02306
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
吉永 諭史 九州大学, システム情報科学研究院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 背景モデル / 階層化 / 背景変動 |
Research Abstract |
従来の背景モデルでは,背景を単一のレイヤーとして定義してきたため,物体検出を行う際に背景・前景という二値のラベルしか割り当てることができなかった.この結果,検出対象の背景への溶け込みや,重なりあった複数の検出対象を識別できないという問題が発生していた.この問題を解決するため,背景モデルの階層化について検討した.統計的背景モデルに階層化構造を導入した結果,物体が停止しても検出し続けることが可能であり,静止物体とその前を通過する物体の識別も可能になることが確認できた.その一方で,明るさ変動の激しいシーンでは,照明変化の観測された領域を静止物体と誤認識し新たなレイヤーを構築してしまうという問題が見られた. そこで,階層化に適した背景モデル作成のため,明るさ変動に頑健な統計的背景モデルについて研究を行った.従来の統計的背景モデルでは,各画素独立に背景モデルを構築し前景・背景を判定していたため,明るさ変動による急激な輝度値変化に対応することが難しかった.明るさ変動が発生した場合,注目画素以外にも同様の変化傾向を示す画素が存在するため,注目画素がそれらの画素と同様の変化傾向を示している否かで明るさ変動を特定できる.これを実現するため,著者は輝度特徴と呼ばれる輝度値の変化傾向を強く反映した特徴を定義した.輝度特徴に基づき画素をクラスタリングすることで,明るさ変動に対する変化傾向が類似した画素同士のクラスタを構築する.ある画素で急激な輝度値変化が観測された場合,その画素の輝度特徴とその画素が属するクラスタの輝度特徴のマッチングを行い,輝度特徴が類似していれば明るさ変動と判定することが可能である.実シーンの映像を用いた実験から,提案手法は,雲による太陽の遮蔽で発生する明るさ変動はもちろん,従来手法では対応が難しかった照明のオン・オフといった非一様な変化が観測される明るさ変動にも対応できることが確認できた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度提案した背景モデルはまだ改良の余地があるものの,従来手法では難しかった照明のON/OFFといった非一様な明るさ変動に対応可能であり,実時間性も確保されている.本来,今年度実施予定であった「背景モデルの階層化」「影領域の特定」については研究途中であるが,今年度の研究結果は来年度以降に計画していた「不均一な照明変化への対応」や「処理の高速化」に通じる部分が大きいものとなっている.
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Strategy for Future Research Activity |
輝度特徴の改善による提案手法の精度改善に取り組むと共に,提案手法を用いた階層化背景モデルを完成させる.長時間観測を行う場合,特に屋外では太陽との位置関係等により,変化傾向の類似した画素のクラスタも変化することが考えられるため,このクラスタの更新方法についても検討する.
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Research Products
(4 results)