2011 Fiscal Year Annual Research Report
遷移金属触媒を用いたフラーレンの選択的官能基化及びその物性に関する研究
Project/Area Number |
11J02324
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
陸 仕栄 東北大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | コバルト触媒 / モノ置換反応 / フラーレン官能基化 / パラジウム触媒 / 非対称二置換フラーレン / 銅触媒 / フラーレン二量体 |
Research Abstract |
1.コバルト触媒を用いたフラーレンのモノ官能基化反応。 遷移金属触媒によるアルキルラジカル活性種の形成および高いラジカル受容性を有するフラーレンの特徴に着目した。フラーレン(C60)とベンジルブロマイドを用いて様々な遷移金属触媒と還元剤などの徹底的な検討を行った結果、10mol%のCoCl2dppe触媒とマンガン還元剤及び少量の水の存在下、76%の高い収率でモノベンジル置換基を有するヒドロフラーレンが室温で得られることを見出した。この最適条件下基質の一般性と汎用性を検討したところ、種々の置換基を有するベンジルブロマイド、アリルブロマイド、プロパルギルブロマイドなど活性アルキル反応剤が効率的に対応するモノ置換フラーレン誘導体を与えることを明らかにした。また、反応の最適条件下、ポルフィリンブロマイド、デンドリマーブロマイドやビスプロモメチルベンゼンなど試薬を用いてフラーレンと反応することにより、有機溶媒に対して高い溶解性を有するポルフィリンやデンドリマー置換基を有するフラーレン超分子とフラーレン二量体の効率的合成に成功した。 2.パラジウム触媒を用いた非対称1,4-置換基を有するフラーレン誘導体の合成 私はパラジウム触媒を用いた活性アルケンの二置換付加反応において、活性アルキンの代わりにフラーレンを用いることにより非対称1,4-二置換フラーレン誘導体が選択的に得られることを見出した。すなわち、1mol%のPd(PPh3)4触媒の存在下、C60とβ-acetonitrile-α-ally1反応剤を90度で反応させると1-acetonitrile-4-ally1[60]fullerneが良好な収率で得られた。 3.銅触媒を用いたモノ置換フラーレン誘導体の二量化反応 高度な共役フラーレン骨格により活性化されたヒドロフラーレン生成物の炭素-水素結合に着目した。すなわち、ある種の触媒を用いることにより、モノ置換ヒドロフラーレンのC-H結合の触媒的官能基化できると考えた。種々の金属触媒と添加剤の検討の結果、モノアルキルヒドロフラーレンがCu(OAc)2触媒などの酸化剤の存在下室温で、フラーレン二量体が効率的に得られることを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究は、遷移金属触媒を用いたフラーレン(特にC_<60>)の選択的新規アルキル単官能基化反応および二置換反応の開発を目的とした。平成23年度では、当初の計画以上に研究が進展した。コバルト触媒を用いたフラーレンの選択的モノ置換反応及び銅触媒を用いた二量化反応は既にJ.AM.CHEM.SOC.とAngew.Chem.Int.Edなどの高いレベルの国際誌に発表された。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究推進方策として、これまでの結果に基づき、さらに新しいフラーレン官能基化反応を開発することと、得られた新規フラーレン誘導体を有機薄膜太陽電池のアクセプターとして光電変換効率の向上を目指す。
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Research Products
(6 results)