2011 Fiscal Year Annual Research Report
相変化記録膜材料におけるコヒーレントフォノン誘起相変化に関する研究
Project/Area Number |
11J02384
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
牧野 孝太郎 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | コヒーレントフォノン / 相変化記録 / 相変化 / フェムト秒 / 光記録 |
Research Abstract |
平成23年度では主にフェムト秒コヒーレントフォノン分光法を用いた超格子Ge-Sb-Te相変化記録膜(GST)における相変化の励起パルスの偏光依存性に関しての研究を行い、データの書き込みに相当するアモルファス相から結晶相への相変化の効率が偏光に大きく依存することを明らかにした。この結果はGSTにおける我々の研究グループが構築した相変化モデルを支持するものであり、相変化原理の解明や光記録メディアとして性能向上に寄与するものである。 我々が作製した超格子GSTサンプルではGe原子がサンプル面方向に変位することにより光学・電気的特性が変化すると考えられている。そのため、Ge原子の移動方向に平行な電場を与える事により相変化を効率良く誘起する事ができると予想され、またGe原子とTe原子から構成される局所構造の光学フォノンは励起パルスの偏光方向に依存すると考えられる。本研究では、直線偏向を持つフェムト秒光パルスの偏向方向を変化させ、先述のフォノンをコヒーレントフォノン分光法により測定した。その結果、Ge原子の移動方向に対して平行方向にパルス電場を与えた場合(p偏光)は、垂直方向に励起した場合(s偏光)に比べて周波数が低下することが明らかとなった。これはp偏光パルスによりGe原子が変移し、相変化が誘起されたことによるものであると考えられる。 上記に加えて、今後の研究で使用する予定のアンプシステムを使用した光学系の構築や、ダブルパルス発生用の光学系の設計を研究グループで行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
23年度の研究対象とした相変化記録膜の偏光依存性に関しては想定していた測定条件での測定を行なっており、概ね順調である。その他の課題に関する光学系の構築が遅れており、来年度以降の研究に遅れが見込まれるため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は消去過程の実現を目指してアンプシステムを使用した測定を行う。まず高強度パルスを用いたコヒーレントフォノン分光を行う。その後、2発のパルス、4発のパルスを使用したフォノンのコヒーレントフォノンの制御を行い、これまでと同様の解析を行うことによりその影響を評価する。
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