2012 Fiscal Year Annual Research Report
相変化記録膜材料におけるコヒーレントフォノン誘起相変化に関する研究
Project/Area Number |
11J02384
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
牧野 孝太郎 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | コヒーレントフォノン / 相変化記録 / 相変化 / フェムト秒 / 光記録 |
Research Abstract |
前年度までの研究では超格子Ge-Te-Sb(GST)に対してdisorder相からorder相への超高速相変化手法の開発を行い、そのダイナミクスを観測してきた。しかし、この逆過程の誘起には成功していない。一般に結晶化に比ベアモルファス化にはより大きなエネルギーが必要とされることから、逆過程の実現にはさらに強い励起強度が必要であると考えられる。我々はさらに大きなフルエンスを用いてコヒーレントフォノン分光を行い、励起密度を高めた場合の基礎的な知識を得るため、フェムト秒再生増幅アンプシステムを用いた計測を行った。コヒーレントフォノン分光には反射型ポンプープローブ法を用い、時間分解の反射率変化を測定することによりコヒーレントフォノンの時間発展を測定した。ポンプ光の励起密度は0.67~2.67mJ/cm^2の範囲で変化させ、コヒーレントフォノンの励起強度依存性を調べた。 得られた結果を、すでに行なっている低いフルエンスでの測定の結果を比較し、高密度励起の場合の基礎的な知識を得ることを目的とした。特に相変化に関与するGeTe局所構造におけるA_1光学モードに着目することで相変化制御を前提とした知識を得られると期待される。GeTe_4のA_1モードについては、励起フルエンスの増加に伴い大きな周波数の低下が見られた。過去のGeTeのA_1モードにおける研究結果と比較すると、シフト量のフルエンス依存性が大きく、低いフルエンスで大きなシフトが誘起されることが明らかとなった。これはGST-SLが相変化記録材料として優れている事実を裏付けるものである。その他、1.0~1.3mJ/cm^2での測定において1.1THz付近と1.7THz付近にピークが出現する。このことからこの程度のフルエンスによる励起の結果、何らかの構造変化が生じ、フォノンスペクトルに影響を与えた可能性が考えられる。このように、高強度のフェムト秒パルスレーザーを照射した際の超格子GSTのフォノンの振る舞いを観測ることに成功している。
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