2011 Fiscal Year Annual Research Report
フンと果実の遺伝解析による種子散布者と種子散布パターンの同時解明
Project/Area Number |
11J02417
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山崎 良啓 京都大学, 農学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | 種子散布 / 鳥散布 / フェノロジー |
Research Abstract |
野外サンプルを用いた解析の予備実験として、飼育鳥個体の新鮮なフンからDNAを抽出し、DNAバーコーディング領域であるmtDNAのCO1領域の配列決定を行った。サンプルの保存法、DNA抽出法、PCR条件、DNA合成酵素の種類、などを最適化することで高い確率でフンの主を種同定できることが確認できた。野外で鳥のフンサンプルを効率的に集めるための手法を検討した。ミズキ結実期間(8月から11月)を通して調査地のミズキ結実木下にビニールシートを設置し、新鮮な鳥のフンおよびフン内の種子を回収した。100以上のフンと数十個のフン内ミズキ種子を得ることができた。これらの成果から、野外採取したフンの遺伝解析が可能であることが期待できる。 ミズキ結実木の結実数調査を行った。また、同時期にミズキ果実を消費する鳥の直接観察を行った。平成23年度はミズキ結実の豊作年であり、ツグミ科の旅鳥・冬鳥により果実が大量に採食されていることが観察された。これらの鳥によるミズキ果実の採食は、調査地においてこれまで報告されていなく、平成23年度の調査により初めて確認された。数年に1度起きる大豊作年には、旅鳥・冬鳥の渡りの時期まで果実が残っており、それらの鳥により種子散布がなされることが示唆された。年による種子散布者の違いは非常に大きく、ミズキの種子散布への各鳥の貢献度を評価するためには複数年の観察を行い、各年ごとに評価することが必要である。 研究成果は、日本生態学会第59回大会第5回東アジア生態学会連合大会において発表した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度の主な目的は、1)鳥類のフンから遺伝解析により種同定をする方法を確立することと、2)フィールドワークとして、ミズキ結実調査・訪問鳥観察・フンのサンプリングを行うことであった。どちらの目的も十分に達することができ、成果をあげることができた。論文の発表をすることはできなかったが、成果は順調にまとまりつつあるため、研究はおおむね・順調に進展していると考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
新たに野外で採取する鳥類のフンおよび平成23年度に野外採取した鳥類のフンの遺伝解析を行いフンの主を種同定する。また、フン内に含まれていた種子の遺伝解析をすることで種子散布距離の解明を目指す。ミズキの結実および種子散布鳥の果実消費パターンには大きな年変動がある。そのため、平成24年度以降も引き続き、結実調査および果実採食観察を行う。また、これらの結果について成果をまとめ論文を発表する予定である。
|