2012 Fiscal Year Annual Research Report
磁束密度の変化を利用した高強度鋼の新しいき裂進展観察法の開発
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11J02473
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
本田 尊士 九州大学, 大学院・工学研究院, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 非破壊検査法 / 磁場顕微鏡 / 疲労破壊 / き裂進展 / 逆磁歪効果 |
Research Abstract |
本年度はき裂進展に伴う磁場変化に対して,その機構を明らかにするために引張応力に対する磁場変化の観察と材料組織による磁場変化の影響について調査を行った. 過去の研究結果により疲労き裂が進展する際に,き裂先端において磁場の変化が観察された.また疲労き裂進展に伴う磁場変化に対してき裂進展に作用した応力の大きさが影響することが明らかとなった.このことから,疲労き裂周辺の磁場を観察することにより,き裂の形状とき裂に作用する応力を評価できる可能性がある.つまりこの二つのパラメターターにより決定されるき裂評価の基礎となる応力拡大係数を評価することで,構造材料の安全性を磁場観察から非破壊的に求めることができる. 本年度は,磁場観察による非破壊検査技術の向上を図るため,一軸引張応力が負荷された際の磁場変化とき裂進展時における磁場変化に対する調査を行った.具体的には,前者に関しては工具鋼に着磁を施した後,一軸引張応力を負荷し,負荷前後の磁場変化を観察した.後者に関しては,熱処理の異なる二つの軸受鋼を用いて着磁後に疲労試験行い,各長さでのき裂周辺の磁場観察を行い,両者の比較を行った. その結果,引張応力を負荷されることで,着磁による残留磁場強度が低下し,その低下量に対して応力の大きさと相関性がみられること,またき裂長さとき裂に作用する負荷応力が同じ場合でも,硬さが低い材料では,き裂周辺磁場の変化が著しく,き裂進展による磁場変化に対して,き裂周辺の残留応力場を規定するき裂周辺の塑性変形は影響していることが分かった.この結果より,き裂周辺の磁場観察からき裂周辺に負荷された応力をより定量的に評価する手法が明らかとなり,磁場観察による非破壊検査に必要な基礎的な知見を得ることができた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた引張応力が負荷された場合の磁場変化とき裂進展に伴うき裂周辺磁場変化に対する材料組織の影響を明らかにすることができた.さらに応力集中部に対する応力負荷時の磁場変化のその場観察に取り組むことができており,計画以上に研究が進展している.
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Strategy for Future Research Activity |
現在,磁場変化を観祭しやすくするため,あらかじめ材料に着磁を行っているが,より定量的な磁場による材料損傷評価技術を開発するためには,さらに適切な着磁方法を実験的に追及する必要がある.
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