2012 Fiscal Year Annual Research Report
動物細胞におけるオーキシン誘導デグロン法を応用した、合成生物学的遺伝学の創出
Project/Area Number |
11J02503
|
Research Institution | National Institute of Genetics |
Principal Investigator |
西村 浩平 国立遺伝学研究所, 分子遺伝学研究系, 特別研究員(PD)
|
Keywords | MCM8 / MCM9 / Homologous Recombinataion |
Research Abstract |
申請者はDNA複製関連因子であると考えられていたMcm8そしてMcm9の細胞における必須機能の解析をニワトリのDT40細胞を用いて行った。まずMcm9と相互作用する因子を探索するためMcm9の免疫沈降を行ったところMcm8が共沈降してくることが明らかとなった。この時、他のMcmタンパク質であるMcm2-7は見られなかったことからMcm8とMcm9は細胞内でMcm2-7複合体とは異なるMcm8-9複合体を形成していると考えられた。Mcm8、Mcm9は複製に必要なMcm2-7のホモログであり、Mcm2-7と同様にこれらの因子は生存に必須であると考えていたため、オーキシン依存的にMcm8もしくはMcm9を除去する細胞を樹立した。これらの細胞ではオーキシン依存的にMcm8およびMcm9の減少が確認されたが、細胞増殖の停止は確認できなかった。この結果はMcm8およびMcm9は細胞の増殖に必須ではないことを示唆していたため、ノックアウト細胞の作成を行った。すると予想通りMcm8、Mcm9ともにノックアウト細胞を作製することに成功した。この研究結果はMcm8、Mcm9がDNA複製という細胞の生存に必須なイベントにおいて、重要な働きは持っていないことを示している。次にこれらのノックアウト細胞の表現型を解析した。解析の結果、Mcm8、Mcm9がMcm2-7とは独立した複合体を形成しており、DNAダメージの後の相同組換え修復に関わると考えられたため、これらの研究結果をまとめて論文として発表した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ニワトリの細胞であるDT40細胞をもちいてMcm8、Mcm9の機能解析を行い、DT40細胞においてオーキシン誘導型デグロン法が有効であることを示した。またこの結果を論文として発表することができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
動物の培養細胞におけるオーキシン誘導型デグロン法の構築に成功した為、次にマウスのES細胞における本手法の導入を行う。当研究室ではES細胞を用いた研究を行っていない為、ES細胞における実験系や培養技術は他の研究室に技術面での協力を依頼する。またES細胞における遺伝子改変には近年注目されているゲノム編集法であるTALENやCRISPR CAS systemを用いようと考えている。
|
Research Products
(2 results)