2011 Fiscal Year Annual Research Report
ロイコトリエンB4第2受容体(BLT2)の大腸癌発症と皮膚創傷治癒における役割
Project/Area Number |
11J02517
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
劉 ミン 九州大学, 医学研究院, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 生理活性脂質 / GPCR / 大腸癌 / 皮膚創傷治療 / SNP |
Research Abstract |
1、大腸癌発症におけるBLT2の役割 大腸癌発症のモデルとして以下の2つのモデルを作製し、BLT2欠損の影響を検討する。(1)大腸癌を生後3ヶ月より自然発症するAPC^<min/+>を背景に、BLT2欠損マウスを交配により作製する。BLT2^<+/+>APC^<min/+>マウスと比較して、BLT2^<-/->APC^<min/+>マウスでは大腸癌の発生率が上昇した。(2)BLT2^<+/+>およびBLT2^<-/->に発癌誘導物質であるAOMと、腸炎誘導物質であるDSSを組み合わせて大腸癌を発症させる。BLT2欠損マウスでは大腸癌の発生率が上昇した。 2、皮膚の創傷治癒におけるBLT2の役割。 (1)BLT2過剰発現HaCaT細胞を用いた解析:BLT2過剰発現細胞ではMock細胞と比較して、増殖速度に変化は無いもののスクラッチした後の細胞移動速度が亢進した。またリガンド添加により更なる細胞移動の亢進が見られたことから、BLT2シグナルが細胞の移動を促進と考えられる。 (2)BLT2欠損マウスを用いた創傷治癒の解析:背中の皮膚を円形にパンチした後の治癒の速度を穴の面積を測定して評価したところ、BLT2欠損マウスで初期(創傷3-4日目)に治癒の遅延が観察された。そこで、創傷2日目の皮膚の組織を野生型およびBLT2欠損マウスより採取し、DNAを抽出してDNAマイクロアレイ解析を行った。その結果、細胞の移動に関与することが知られている遺伝子群の発見がBLT2欠損により低下していることが明らかとなった。また、創傷2日目の皮膚組織のHE染色を行ったところ、BLT2欠損上皮ケラチノサイトの移動の遅延が観察された。 3、BLT1のSNP解析。 ヒトBLT1のSNP解析をおこなったところ、アミノ酸置換変異を1種類同定した。しかし、このアミノ酸変異がBLT1のリガンドへの結台能や細胞内へのシグナルに影響しなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
特に皮膚の創傷治癒におけるBLT2の役割の研究が順調に進んでいる。BLT2過剰発見HaCaT細胞、BLT2欠損マウスを用いて、BLT2がケラチノサイトの移動を亢進させ、創傷治癒に貢献していることを明らかにし、さらにその詳細なメカニズムの解明もほとんど終わっている。現在論文を作成中である。 大腸癌発症におけるBLT2の役割の研究は初期段階の研究を終え、BLT2欠損により大腸癌発生が亢進することを明らかにしている。
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Strategy for Future Research Activity |
皮膚の創傷治癒におけるBLT2の役割の研究は現在論文を作成中であり、今後雑誌に投稿して報告を行う。 大腸癌発症におけるBLT2の役割の研究は、癌部位の組織切片を作製し、HE染色や免疫染色を行うことで、組織学的な判断を行う。 更にBLT2シグナルの大腸癌発生抑制の分子学的なメカニズムの解明は行う予定である。
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Research Products
(4 results)