2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11J02531
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
徳竹 由華 東京農工大学, 連合農学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | コエンザイムA / ラット / 細胞内代謝 / 肥満 / 食欲 / 脂質 |
Research Abstract |
本研究の最終目標は様々な条件下で飼育したラットの組織内アセチル-CoA、マロニル-CoA、およびCoASHの各プールの動態を網羅的に解析し、ラット組織内CoAプールの動態に関するアトラスを作製することであるが、平成23年度は偏った食餌で飼育したラットの各組織内CoAプールの解析を行った。具体的には高炭水化物食、高タンパク質食、あるいは高脂肪食で飼育したラット由来組織を材料とした。雄の8週齢Wistar系ラット各6頭を標準食で1週間馴致後、高炭水化物食、高タンパク質食、あるいは高脂肪食を与え、それぞれ自由摂食、自由飲水で12時間明暗サイクルの下で4週間飼育し、一晩絶食後、13組織を摘出した。摘出した組織は、脳部位では大脳皮質、海馬、視床下部、小脳、延髄、脳部位以外では、肝臓、脾臓、腎臓、心臓、骨格筋、腎周囲脂肪、褐色脂肪、精巣上体脂肪である。組織中の総CoAプール(アセチル-CoA、マロニル-CoA、およびCoASH)を酸抽出法により調製し、これを細胞内アセチル-CoA、マロニル-CoA、およびCoASHの酵素的微量定量法であるアシル-CoAサイクリング法の試料として各組織内CoAプールの動態を解析した。また飼料の質が、摂取カロリー、体重増加量、および組織重量、そして血清中の糖、中性脂肪、遊離脂肪酸、および総ケトン体に及ぼす影響も併せて解析した。飼料間での摂取カロリーには違いがなかったが、高脂肪食摂取ラットの体重増加量は他の試験区より明らかに大きかった。高脂肪食摂取による組織重量の有意な増加は、肝臓、心臓、腎周囲脂肪、および精巣上体脂肪で観察された。この時の血清中の化学成分には大きな違いは観察されなかった。組織内CoAプールの解析では、高脂肪食摂取により総CoAプールのサイズは視床下部、小脳、および腎臓で有意に大きく、肝臓および骨格筋で有意に小さかった。この解析により摂取する食餌の質により、組織内CoAプールのサイズと組成が変わることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
高炭水化物食、高タンパク質食、および高脂肪食で飼育したラットの各組織内CoAプールの動態解析が終了し、現在、飼料の質の違いがラット組織内CoAプールに及ぼす影響について論文を執筆中である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度の研究により、高脂肪食摂取がラットの組織内CoAプールに影響を及ぼすことが示唆されたため、平成24年度は、高脂肪食に加え、CoA生合成経路の出発物質であるパントテン酸、あるいはミトコンドリアで脂肪酸の取り込みに関与するカルニチンの摂取が組織内CoAプールの動態に及ぼす影響を解析する。具体的には、高脂肪食とパントテン酸、あるいはカルニチンを摂取させて飼育後、13組織を摘出し、組織内CoAプールの動態を解析する。さらに、血清中の糖、中性脂肪、遊離脂肪酸、および総ケトン体を測定する。また研究計画を一部変更し、高脂肪食とパントテン酸、あるいはカルニチン摂取が肝臓中の脂肪蓄積に及ぼす影響を追加して解析するため、高脂肪食とクレアチン、あるいはセルレニンを摂取させる実験については、平成24年度では行わない。
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Research Products
(2 results)