2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11J02534
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
谷口 怜 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | エボラウイルス / アレナウイルス / コウモリ / カニクイザル / ELISA / 国際研究者交流 / ミニゲノム / フィリピン |
Research Abstract |
1 フィリピン翼手目におけるレストンエポラウイルス REBOV)疫学調査 【目的】フィリピンにおいて、宿主と考えられるコウモリのREBOV抗体及び脾臓におけるウイルスRNA検出を試み、感染の実態の解明を目的とした。【本年度の進捗状況】フィリピンにおいて、コウモリサンプリングをおこなった。得られた23検体の血清及び、過去に採材した血清110検体を対象にREBOV核蛋白(REBOV-NP)及び膜糖蛋白(GP)を抗原としたELISAをおこなった。また、脾臓RNAからRT-PCR法を用いてウイルスゲノム検出を試みた。採材血清、脾臓からは抗体及びウイルス遺伝子は検出されなかった。以前の調査からルーセットオオコウモリ属で陽性検体が得られている。従って、今後も調査を行う必要がある。 2 レストンエポラウイルス感染カニクイザルにおける自然免疫系の解析 【目的】エボラウイルス(EBOV)感染症は霊長類に対し高い致死性を示す。本研究ではREBOV-NP及びGPを標的とした抗体検出系、及び中和試験法、抗原検出ELISAを用い、1996年REBOV感染個体を対象に、自然免疫系の解析をおこなった。【本年度の進捗状況】カニクイザル感染個体の血清を用いNP、GP、中和抗体の抗体価を調査した。その結果、Anti-NP抗体陽性の個体であっても、数検体でウイルス血症陽性であり、中和抗体の上昇が見られる個体ではウイルス血症陰性であった。これらの結果はサルの自然感染後のウイルス血症からの回復にはGP抗体の産生が重要であり、感染後の予後の予測の指標になると考えられる。 3 リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス(LCMV)のS segmentミニゲノム系の確立 【目的】サルに接種した場合、肝炎及び出血熱を起こすLCMV WE strainのミニゲノム(MG)の作製を試みた。【本年度の進捗状況】ゲノム非翻訳領域をクローニングし核蛋白(NP)部へGFP、luciferaseの挿入を試み、polymerase I driven MGを作製した。本プラスミドをLCMV WE-NP発現プラスミド、Armstrong株-L発現プラスミドとともにBHK細胞へtransfectionした。その結果、GFPの発現が確認され、MGが機能性を保持していることがわかった。来年度以降、本MGを用いて、LCMVの遺伝子機能の解析をおこなっていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に記載した通り、LCMVのミニゲノムの系を23年度に確立するとが出来た。24年度、25年度に本系を用いて実験をおこなっていくことが可能であることからおおむね順調であると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度及び25年度は引き続きフィリピンにおけるオオコウモリのレストンエボラウイルス疫学調査を行う。またその一方で昨年度作製したアレナウイルスミニゲノムを用い、アレナウイルスゲノム機構の分子生物学的解析をおこなっていく。
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