2011 Fiscal Year Annual Research Report
環状ポリエーテル骨格の一挙構築反応の開発とitomanalleneの全合成研究
Project/Area Number |
11J02576
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
吉光 佑二 京都大学, 薬学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | itomanallene A / laurendecumallene B / プロパルギル化合物 / パラジウム触媒 / 中員環 / 全合成 / テトラヒドロフラン / ソゾ属 |
Research Abstract |
Itomanallene Aは2002年、Suzukiらによって沖縄の糸満でソゾ属の紅藻から採取された、5つの不斉中心を有するユニークな9,5-縮環エーテル構造と軸不斉ブロモアレン有するC15アセトゲニンである。報告者は以前に、ブロモアレンがパラジウム触媒存在下アリルジカチオン等価体として機能する性質を見出し、本反応性を利用したブロモアレンの連続環化反応を鍵反応としたjaspine Bの効率的合成に成功した。一方で、アリルジカチオン等価体を利用した中員環エーテル構造を有する二環性複素環の一挙構築に成功した例は知られていない。報告者は、両末端に酸素求核種を有するブロモアレン等価体を基質として用いることで、itomanallene Aの中心骨格である二環性エーテル構造の一挙構築が可能になると考えた。環化反応の基質であるプロパルギルカルボナートを19工程で合成し、パラジウム触媒を用いて種々検討を行ったところ、9,5-ビシクロ環の生成は確認されたものの、生成物中のジヒドロフラン部位が反応条件下でフランに異性化してしまうことが判明した。そこでitomanalleneの中心骨格の一挙構築は困難であると考え、2環の段階的な合成や、itomanallene以外の中員環エーテル構造を含む天然物の合成も視野に入れて検討する,こととした。種々基質を検討した結果、プロパルギルカルボナートから8員環エーテルを中程度(42%)の収率で得ることに成功した。現在本反応を用いた、8,5-縮環エーテル構造を有する天然物であるlaurendecumallene Bの全合成を検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画していたitomanallene Aの中心骨格の一挙構築反応において、生成物の不安定性ゆえに所望の化合物を得ることができなかったが、laurendecumallene Bの基本骨格構築に成功したため。
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Strategy for Future Research Activity |
Itomanallene Aの全合成は断念し、laurendecumallene Bの合成を行うこととした。Laurendecumallene Bは2007年、Wangらによってソゾ属の紅藻Laurencia decumbensから採取された、8,5-縮環エーテル構造と軸不斉ブロモアレン有する天然物である。これまでの検討においてプロパルギルカルボナートにパラジウムを作用させることで、8員環エーテル骨格を構築することに成功した。今後はTHF環の構築および各種官能基変換を行うことで、 laurendecumallene Bの全合成を達成したい。
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Research Products
(3 results)