2012 Fiscal Year Annual Research Report
ダイナミックな構造変化を利用した高精度低分子プローブの精密設計と開発
Project/Area Number |
11J02579
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
永本 祐樹 京都大学, 薬学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | 多環芳香族化合物 / 縮環シクロブタノール / 環縮小転位 / 小員環 / 蛍光 |
Research Abstract |
私は昨年度に引き続き、以前開発した環縮小転位を利用した低分子プローブの開発を目指して研究を進めた。本年度は、計画でも示したように蛍光出力を制御できる分子設計を目指して研究を行った結果、多環芳香族化合物の新たな合成経路を確立するとともに蛍光を有する分子の設計にも成功したので以下報告する。 多環芳香族化合物は、有機EL素子や有機半導体などの機能性有機材料として期待される分子である。私は前年度、縮環シクロブタノールを酸性条件に付すと環縮小転位と続くスピロ三員環の開環反応が連続的に進行し、芳香族化合物が得られることを見出している。私は、本反応を種々の芳香環を複数導入した縮環シクロブタノールに適用することで多環芳香族化合物を簡便に合成できると考えた。また前駆体となる多環式縮環シクロブタノールは、2-アシル-2'-ビニルビアリールから調製したエノラートの分子内環化により効率よく合成できると考えた。 2-アシル-2'-ビニルビアリールに対して様々な無機塩基を作用させたところ、カリウム塩基が最も有効であることが分かった。また本反応は、種々の置換基や様々な縮環様式を有する基質、あるいはヘテロ環を有する基質などに適用可能であることを見出した。得られた種々の多環式縮環シクロブタノールを酸性条件に付すと、環縮小転位と続く環開裂が連続的に進行し、種々の有用な多環芳香族化合物を効率よく合成できた。さらに、これら二つの反応を利用して蛍光を発する分子の設計にも成功した。 本成果の意義・重要性を以下に示す。 ・多環式縮環シクロブタノールの実用的な新規合成法を開発した ・多環芳香族化合物の新たな合成経路を確立した ・高い蛍光特性を有する分子の設計に成功した
|
Research Products
(5 results)