2011 Fiscal Year Annual Research Report
持続可能な都市づくりに向けた環境・社会・経済影響評価手法の開発
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11J02646
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
川久保 俊 慶應義塾大学, 大学院・理工学研究科, 特別研究員(DC2) (50599389)
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Keywords | トリプルボトムライン / データベース / 基礎自治体 / 市区町村 / 地理情報システム / 日本地図 |
Research Abstract |
本研究では基礎自治体である市区町村を対象に、トリプルボトムラインを構成する環境、社会、経済の三つの側面から、均衡のとれた発展が行われているかモニタリングするツールを開発している。日本全国の1,750の市区町村の統計データを収集した後に、平均値や中央値、分散、標準偏差、歪度、尖度、相対度数といった各種基本統計量を算出してデータベース化し、これらに基づいて標準化得点等を推計した。これを地理情報システム(GIS:Geographic Information System)を用いて日本地図上に出力し、以下に示すような結果を得た。 1.環境面の評価では、都市規模が大きくなればなるほど、自然的土地比率や水質、空気質といった評価項目の結果が悪化する傾向が示された。 2.社会面の評価では、都市規模が大きくなればなるほど、犯罪発生率や交通事故発生率等の安心・安全性の評価項目の結果が低下し、人口増減率等社会活力の評価項目は逆に向上した。 3。経済面の評価では、都市規模が大きくなればなるほど、人口一人あたりの生産額や自治体の税収、公債費比率といった各種経済指標の結果が向上する傾向が示された。 環境面、社会面、経済面の要素間の重みを考慮せず均等に扱い、三要素の得点を単純に加算して都市1の質Q(Quality)を評価した結果、例外はあるものの全体的には都市の規模が大きくなるほど、都市の質Qは低下する傾向を示した。人口が増えて都市の規模が大きくなると経済活動は活性化するが、自然環境は破壊されることが多く、環境の保全と経済活動の活性化の間にトレードオフの関係が発生していることが示唆される結果となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
初年度の目標として日本全国の市区町村を対象としたアンケート調査を実施して、地域毎の対策等を把握することを掲げていたが、これに加えて日本全国の基礎自治体の統計データを収集・データベース化するとともに、現状評価を実施するところまで至った。
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Strategy for Future Research Activity |
収集した日本全国の基礎自治体の統計データをもとに各種多変量解析を実施する。トリプルボトムラインを構成する環境、社会、経済の各観点から評価と考察を加える。また各都市が実施する施策の効果を明らかにするために、今後は一時点の評価だけではなく、時間軸を考慮した評価を行っていく。
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