2012 Fiscal Year Annual Research Report
社会的意思決定の計算論的モデル確立と脳神経メカニズムの解明
Project/Area Number |
11J02648
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
鈴木 真介 北海道大学, 大学院・文学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 意思決定 / 社会脳科学 / 神経経済学 / fMRI / ゲーム理論 |
Research Abstract |
本研究計画「社会的意思決定の計算論的モデル確立と脳神経メカニズムの解明」では,1.ヒトはどのように社会環境を学習するのか?2.与えられた環境下で,ヒトはどのように社会的意思決定(他者との協力や裏切り)を行うのか?の解明が大きな柱になっている. テーマ1. 「ヒトが(重要な社会環境の一つである)他人の選好をどう学習するのか?」というテーマでプロジェクトを進めている。従来の社会脳科学の研究では「被験者が他人とゲームを行う.その際のルールや得点は明示的に教示されている」というケースが主に調べられてきたが,本研究は「実験課題中に,被験者は他人の選好(つまり,他者にとってのゲームの得点)を学習/推測しなければいけない」という点で独創的である.現在,fMRIを用いた実験を計画しており,予備実験までが終了している.なお,来年度の始めには本実験に移行できる見込みである. テーマ2. 「自分にとっては損になると思われるような利他的協力行動がなぜ進化したのか?」という問題意識で,以下の研究プロジェクトを行った.ヒトは「評判の良い他者(過去に協力行動をしたことを示す)」に対しては協力し,「評判の悪い他者」には協力しないことが知られている.この傾向は「間接互恵的協力性向」と呼ばれ,生物学,心理学,経済学などで広く知られている.このプロジェクトでは,「評判を伝達するためのコストを考慮すると,間接互恵的協力は進化し得ない」ことを数学的に示した.なお,この成果はScientific Reports誌に掲載されている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究計画「社会的意思決定の計算論的モデル確立と脳神経メカニズムの解明」では,1.ヒトはどのように社会環境を学習するのか?,2.与えられた環境下で,ヒトはどのように社会的意思決定(他者との協力や裏切り)を行うのか?の解明が大きな柱になっている.2.については順調に成果を挙げられたが,1.については本年度中に本実験を開始する事ができなかった.その点で,本研究計画は「やや遅れている」と判断している.
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は本研究の一つの柱である「ヒトはどのように社会環境を学習するのか?」についての研究を進める.できるだけ早い時期に本実験を始め,得られた結果の解析及びまとめ(論文の執筆を含む)を行うことを目指す.
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