2012 Fiscal Year Annual Research Report
反応性の逆転:アルデヒド共存下でのケトン選択的変換反応
Project/Area Number |
11J02667
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
八幡 健三 大阪大学, 薬学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 反応性の逆転 / ホスホニウム塩 / one-pot反応 / ホスフィン |
Research Abstract |
これまでに開発していたPPh_3-TMSOTfを用いたアルデヒド存在下でのケトンの変換反応の基質一般性を拡大すべく研究を行い、ケトンやエステルだけでなくニトリルやWeinrebアミドの選択的な変換にも成功した。また、本反応が水酸基の保護基やピリジン、フランなどの複素環骨格を有する基質に対しても有効であることも明らかとした。また、トリフェニルボスフィンをトリエチルホスフィンに変更することで、ケトン存在下でのニトリルやWeinrebアミドの選択的な変換も達成し、本法が従来法と比べて非常に一般性が高く、実用的な反応であることを示した。 さらに、比較的高価なTMSOTfとハロゲン系溶媒を使用するという開発した手法の問題点の改良に向けた初期的な検討を行った。検討の結果、それぞれの問題点がトリフェニルボスフィンの求核力の低さとその塩の溶解性の悪さに起因していることを突き止め、トリブチルポスフィンを用いることで、トルエン中、安価なTMSCIを用いても良好な収率でアルデヒド存在下でのエステルの還元を進行させることに成功し、より実用的で環境負荷の少ない反応条件を見出した。 以前に開発した手法を用いて合成法を確立している抗リーシュマニア病活性が報告されているCentrolobineの様々な誘導体を合成し構造活性相関研究を行うことで、本天然物がマラリアに対しても活性を示すことを明らかとした。 現在は、より複雑な天然物Crotogoudinの合成研究を行っており、これまでに本化合物の母核となる主要骨格の構築に成功している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
カルボニル基の反応性の逆転という領域において従来になく一般性、実用性が高い手法の開発に成功し、その応用として行った、天然物合成においても新規活性を見出した。
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Strategy for Future Research Activity |
反応の改良に向けたより詳細な条件検討を行い、開発した手法の有用性を高める。また、天然物Crotogoudinの全合成に向けて研究を行う。
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Research Products
(5 results)