2011 Fiscal Year Annual Research Report
光合成膜タンパク質集合体機能解明のための超分子アレイの創成
Project/Area Number |
11J02697
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
角野 歩 名古屋工業大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 光合成アンテナ膜タンパク質 / 原子間力顕微鏡 |
Research Abstract |
【諸言】光合成細菌の光合成膜中では、光合成反応の初期過程を担う膜タンパク質・色素複合体であるLH2およびLH1-RCが高密度に組織化され、LH2とLH1が収穫した光エネルギーをRCが電気エネルギーへ変換するという協同的な機能が明らかになっている。しかし、これらの光合成膜タンパク質の集合形態と協同的機能の相関は全く不明であり、本研究の目標はこれらの集合形態-機能相関の分子レベルでの理解である。 【研究内容】精製したLH2,LH1-RCを界面活性剤存在下でリン脂質と混合し、透析により界面活性剤を除去することで再構成リポソームを調製した。これをマイカ基板もしくはITO電極基板上で平面膜化させることにより固定化脂質二分子膜を形成させた。平面膜中に組織化したLH2,LH1-RCをAFM観察したところ、直径約6nmのリング構造、直径約11~15nmの楕円構造とその中に埋め込まれた膿外高さ約3nmの構造が集合体を形成している様子が視測された。これらの構造体はそれぞれ、過去に報告されたLH2,LH1-RCの結晶構造と一致していることより、再構成膜中のLH2,LH1-RCの集合構造を分子レベルで観察することに成功した。次に、再構成リポソーム中のLH2からLH1-RCへのエネルギー移動を観測した。LH2が吸収する800nmで各溶液を励起すると、LH2単独の場合、867nmに強い発光が観測された(実線)。またLH2とLH1-RCを共存させた場合、LH1-RC由来の895nmの蛍光発光が大幅に増強された。この結果は再構成膜中においてLH2からLH1-RCへのエネルギー移動を明確に示しており、再構成膜中でのLH2とLH1-RCの集合体形成を示唆している。最後に、再構成膜中のLH1-RCの光電変換機能計測を行った。ITO電極上にLH1-RC含有平面膜を調製、電子メディエーター(UQ-10)を膜中へ添加し、光照射して光電流を検出した。LH1が吸収する880nmの光を照射すると、光のON/OFFに対応する電流発生が確認されたことより、再構成膜中LH1-RCの光電変換機能を検出可能であることが示された。以上より、光合成膜タンパク質の集合形態-機能相関への要素技術を確立した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
膜タンパク質の集合構造と機能の相関を評価するためにはそれぞれを評価するための手法が必要である。このための要素技術が確立できたため。おおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
集合構造と機能がそれぞれ評価可能になったので、集合構造の制御を試みる。まずは再構成に用いる脂質分子を変化させることにより集合構造を試みる。また作成した集合構造がエネルギー移動等の機能に及ぼす影響について検討する。
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