2012 Fiscal Year Annual Research Report
超新星背景ニュートリノ検出のための中性子に感度のある水チェレンコフ光検出器の研究
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11J02758
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
森 俊彰 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 超新星背景ニュートリノ / スーパーカミオカンデ / ガドリニウム |
Research Abstract |
超新星背景ニュートリノ(SRN)と呼ばれる過去の超新星爆発からのニュートリノを検出することで宇宙誕生から現在までの恒星進化の歴史のモデルを検証することができる。SRNの発見を目指し、ガドリニウムを溶かした中性子に感度のある水チェレンコフ検出器の実証実験を行っている。平成24年度、私は実証実験グループ内においてシミュレーションを用いた検出器の性能評価、データ収集・解析プログラムの構築、そして検出器への光電子増倍管(PMT)の取り付け準備を担当した。 シミュレーションプログラムを用いて検出器の事象再構成などの性能評価を行った。事象位置再構成の精度は約60cm(@電子エネルギー=10MeV)である。他にもエネルギー再構成の精度や角度再構成の精度も確認しスーパーカミオカンデと同程度の性能が期待され実証機を用いて精確な実証実験が行えると思われる。 23年度に構築したデータ収集システムは取得したデータをバイナリ形式で保存するため、解析用のファイルに変換する必要がある。この変換の際にデータの出力単位を物理的に意味のある値である時間や電荷量に変換し、検出器内で発生した事象の再構成を行う。またPMTと光源を用いた実験を長期行うことでデータの取得から解析まで大きな問題がないことを確認した。 平成25年度に開始予定の検出器へのPMT装着の準備を行った。PMTの装着は危険な作業であり十分な準備が必要である。70m長の信号・高電圧ケーブルをデータ収集システムから検出器の外側まで240本配置し、信号のコネクタの作成、そしてケーブルの導通チェックなどを行った。これによりPMTの取り付け作業を短縮することが可能である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ガドリニウム実証機のガドリニウム入り純水の循環システムの調整が予定よりも遅れており検出器への光電子増倍管の取り付け作業も遅れている。その分、光電子取り付け作業の準備や事前処理などを行うことによち取り付け作業の期間を短縮することで、25年度中に実験データを取得する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
25年度の6月下旬から検出器への光電子増倍管の取り付け作業が開始する予定である。約2か月の取り付け作業後に検出器の光電子増倍管の較正実験を行う。較正実験が終わり次第、中性子線源を用いて、ガドリニウム入り水チェレンコフ検出器の評価実験を行う予定である。
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