2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11J02759
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
岩渕 俊樹 京都大学, 情報学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 言語 / 脳機能イメージング / 機能的核磁気共鳴画像法 / 脳波 / fMRI / EEG |
Research Abstract |
本年度の研究内容は大きく以下の3つに分けられる. (1)文理解における主語の役割に関する研究 「AがBを押している」「BがAに押されている」といったように,われわれは同じ情景を異なる主語によって言語化することが可能である.このように主語を切り替えて情景を理解し直すとき,脳がどのように働いているかをfMRI実験により検討した.その結果,下前頭回三角部,楔前部,そして右上中心前溝といわれる領域が主語の切り替えにおいて重要であることを示した. (2)複文理解における階層構造の処理に関する研究 階層的な中央埋め込み構造を持つ複文(例.「CをBにしかられたAはけとばした」)の理解に関するfMRI実験を行った.こうした文の理解中の脳活動をfMRIによって計測したところ,左上中心前溝,左下前頭回三角部,左側頭頭頂接合部,左下頭頂小葉といった領域が階層構造の処理に重要であることがわかった.さらに,特に左下前頭回三角部と左上中心前溝の相互結合が中央埋め込み構造の処理において主要な役割を果たすことを明らかにした. (3)単文理解における意味情報の統合メカニズムの研究 単文理解における情報統合が脳内でどのように行われているかということをEEG実験により検討した.脳内において,物体の表象は側頭葉下部,運動行為の表象は前頭葉下部,人名などの表象は側頭葉前部,といったように,語彙的情報は脳内で分散的に表現されていることが多くの先行研究から示唆されてきた.しかし,これらの情報がどのように統合され,文という統一された意味表象を形成するのかについてはほとんど明らかにされて来なかった.本研究はEEGを用いた実験を行い,言語の意味的統合が領域間の位相同期によって実現されるという仮説を検証した.その結果,文の意味的統合には3-4Hz帯域での前頭―頭頂付近の位相同期が関わっていることを明らかにした.
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Research Products
(7 results)