2011 Fiscal Year Annual Research Report
核受容体を活性化する機能性食品成分とその異物代謝に対する促進効果の解明
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11J02920
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
姚 瑞卿 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 酒類ポリフェノール / DNAマイクロアレイ / アルコール性脂肪肝 / 核内受容体CAR |
Research Abstract |
本研究は、異物感受性核内受容体であるCARの活性化を指標として食品機能性成分をスクリーニングし、これらの成分による解毒やエネルギー代謝の制御機構についての分子的知見を得、現代人の健康と食品産業の発展に寄与することを目的としている。 本年度は、酒類に含まれるポリフェノールについて、CARの活性化能を検討した。酒類に含まれるポリフェノールは生活習慣病のリスク低下などの作用を持つことが知られている。HepG2細胞のアッセイ系を用いて、これらの代表であるエラグ酸とレスベラトロールが核内受容体CARを活性化することを確認した。次に、エタノール誘導性脂肪肝マウスモデルに対するこれらのポリフェノールの効果を検討した。エタノールを含まないコントロール食、エタノール食、ポリフェノール(エラグ酸あるいはレスベラトロール)を含むエタノール食をマウスに与え、肝臓の脂肪蓄積を組織染色により比較解析した。その結果、ポリフェノールを含むエタノール食を与えたマウスでは肝臓の脂質蓄積が抑えられていた。次にこれら4群のマウスの肝臓の遺伝子発現を、DNAマイクロアレイを用いて比較解析した。その結果、ポリフェノールはエタノール混餌で誘導されたストレス応答性の遺伝子群の発現を抑制し、脂肪代謝に関わる遺伝子の発現低下を元に戻していることが明らかになった。さらにポリフェノールで誘導される遺伝子を解析したところ、脂肪酸異化、コレステロール代謝に関わる遺伝子が多く含まれていた。CAR欠損マウスに関しても同様の実験を行い、エラグ酸とレスベラトロールのアルコール性脂肪肝に対する抑制効果は、CAR遺伝子の有無と関連することを示した。以上より、ポリフェノールによるアルコール性脂肪肝の抑制の代謝メカニズムが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
HepG2細胞のアッセイ系を用いて酒類ポリフェノールであるエラグ酸とレスベラトロールが核内受容体CARを活性化することを確認した。また、動物実験により、エタノール誘導性脂肪肝に対するエラグ酸とレスベラトロールの予防効果を示した。肝臓のDNA microarray解析の結果から、これらの成分によるアルコール性脂肪肝の抑制の代謝メカニズムが明らかになった。CAR欠損マウスについても同様の実験を行い、その予防効果はCARの有無と関連することも示した。
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Strategy for Future Research Activity |
マウスでの生理活性が認められた機能性成分について、その構造とCAR活性化能との相関を解析する。特に脂質代謝の促進がみられたものについては、腸-肝循環や脂肪組織への滞留などの体内動態を解析し、代謝異常の改善への応用を目指す。また、ポリラェノールはエピジェネティックな遺伝子修飾にも関わっていることから、今後はポリフェノールの摂取が子世代・孫世代に与える影響を検討して行く予定である。
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