2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11J02974
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
前田 孝文 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | 圧電セラミックス / 無鉛 / 水熱合成法 |
Research Abstract |
本研究では環境に優しい非鉛圧電材料の合成を行っており,高い圧電性,電気機械結合定数,キュリー点を持つニオブ酸カリウムナトリウム(K,NN:(KNa)NbO_3)セラミックスに注目している. 通常,固相反応法を用いて原料となるセラミックス粉末を得るが,水熱合成法を用いて粉末の合成を行えば,より高品質な粉末得ることができる.水熱合成法とは圧力容器を用いて,高温・高圧・強アルカリの条件での水溶液イオン反応のことである.特徴として,(1)'200℃程度で低温合成ができる.(2)'炭酸カリウムを使わずに合成できるため,原料を精密に秤量できる.(3)'KNbO_3中のNbと(K,Na)の組成比は水溶液中で自動的に1:1となる.(4)'水溶液中のイオン反応のため微細な粉末を得ることができる.本研究では、高品質水熱合成粉末を利用した高い圧電特性を持つKNNセラミックスの合成を目的とする. 本研究では今までに,KNNの水熱合成条件と分極条件等の改善により圧電定数d_<33>=130pC/N,Qm=50を達成した.しかし,工業応用上はd_<33>>200pC/N,Qm>200が必要である.そこで本研究では初めに圧電定数d_<33>の改善を行うため,(K,N)NbO_3にLiNbO_3添加物を加えることでMPBを狙い,組成としての圧電特性を向上させた. 水熱合成(K_<0.48>Na_<0.52>)NbO_3にLiNbO_3を添加し(Li_x(Na_<0.52>K_<0.48>)_<1-x>)NbO_3セラミックスを合成した.xが0.06以上の時,c/a値が1.016から1.024の値を示したため,結晶構造が結晶構造が斜方晶系から正方晶系に変化するMPBであることがわかった.また,MPBで圧電定数の向上が確認され,d_<33>=203pC/Nに達した.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
水熱合成法により,高品質粉末の合成に成功し,その粉末を用いて高密度KNNセラミックスの合成に成功した.その絶成にLiNbO_3を添加し結晶構造を変化させることで当初圧電特性の目標値であるd_<33>>200pC/Nを達成したので計画以上に進展しているといえる.
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は下記2点を検討している。 1.機械品質係数であるQ値を改善させるため。組成に添加物を加えて調整する. 2.合成した材料でセンサーやアクチュエータなどのアプリケーションの応用を考慮して設計製作を行う. 以上を中心に行い,水熱合成非鉛圧電セラミックスの工業応用のための知見を得る.
|