2012 Fiscal Year Annual Research Report
建物・設備連成系の地震リスク低減のための分散協調制御手法の開発
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11J03024
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
三浦 奈々子 慶應義塾大学, 理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 制振 / 建物機能維持 / 地震応答 / 医療設備 |
Research Abstract |
本研究は建物・設備連成系の地震リスク低減のための効果的な制御手法の提案を目的としている。24年度には(A)制振建物・エレベーター連成系に対して、建物の制御装置を建物の振動低減およびエレベーターの機能維持のために有効に用いる方法の提案と(B)免震建物に対して、達成したい制御目的が複数存在する場合の制御方法の提案を行った。 (A)について、まず23年度に行った建物・エレベーター縮小試験体を用いた自由振動に対する制御実験の結果を基に、制御則の改良を行った。そして、スケーリングした観測波と告示波を入力とする震動台実験を行い、建物の制御装置を用いた建物の振動制御とエレベーターロープの振動制御が実現できることを確認した。 (B)について、建物の特定階(重要な機器が設置されている等を想定)の応答を重点的に減衰させる、あるいは特定の設備の応答を重点的に低減させる制御の評価関数(無次元化評価関数)の設計方法についての提案を行った。まず、地震時における性能目標(避難行動可能な床応答、建物変形が継続使用可能な範囲内、免震層が許容変形内等)を文献調査により設定した。次に、性能目標を設定した物理量の非制御時の最大応答を基にその重要度に応じて参照最大応答を設定する。そして、評価関数を低減させたい制御出力応答を其々の性能目標値と参照最大応答のうちの小さい方で除すことによって無次元化した値を用いた二次形式とする。これにより、応答低減の重要度に応じて振動制御に重みづけを行うことが可能となることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
23年度の自由振動制御実験の結果を踏まえ、本年度は震動台実験でも制御の有効性を示した。また、複数の制御目的にそれぞれの重要度を反映させた制御手法を提案し、数値解析により有効性を示した。おおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
制御について、24年度までは制御装置の最大出力に関する制約を考慮した検討を行ってきたが、25年度には使用されるエネルギーの観点から、協調制御手法の改良・提案を行う。
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Research Products
(5 results)