2013 Fiscal Year Annual Research Report
KamLANDにおけるXe二重ベータ崩壊探索によるニュートリノ質量機構の解明
Project/Area Number |
11J03068
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
吉田 学立 東北大学, 大学院理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 素粒子実験 / 二重ベータ崩壊 / デッドタムフリー / ニュートリノ / マヨラナ性 / ニュートリノの質量階層構造 |
Research Abstract |
昨年度12月の神岡地下施設での火災事故からの復旧作業が今年度6月に完了し、昨年度から中断されていた110mAgバックグラウンドの除去作業を再開した。蒸留し、純化した液体シンチレータとミニバルーン内の液体シンチレータを入れ替え、極僅かに含まれる110mAgの低減を図った。最終的に、ミニバルーンの体積(16.5平方メートル)の3倍の量の液体シンチレータの置換を行い、その後、新たに購入した液体シンチレータを導入した。2013年11月に純化作業が完了し、キセノンガスの再導入を行った。導入後は、現在まで継続的にデータ収集が行われており、136Xeの二重ベータ崩壊の半減期測定が再開されている。 また、キセノンガスの導入方法は、前回の導入時から手法が改良されており、密度調整をしながら液体シンチレータにキセノンガスを溶解しながら循環することで、約380kgのキセノンをミニバルーン中に溶解することに成功した。これは、前回の導入時と比較すると、約20%の質量の増大に相当する。 これまでの測定データから、110mAgバックグラウンドは、少なくとも1/10以下に低減されていることが確認されており、これまでより更に高感度な測定ができると予想されている。一連の純化作業において、ミニバルーン内のバックグラウンド分布が変化していることがわかっており、それに伴い、バックグラウンドの分布をセグメント化し、詳細に見積もることで有効体積を最適化し、感度を向上させることができる。加えて、これまでは、110mAgが支配的なバックグラウンドであったが、純化作業により低減化されたことで、宇宙線により生成される10Cバックグラウンドも考慮する必要がある。宇宙線・中性子・10Cの3事象の遅延同時計測によるタグによって、除去が可能であることは既に研究されており、二重ベータ崩壊の解析に取り入れ、除去効率の最適化も進行中である。 KamLAND-Zen実験の1.5th Phaseとして、低バックグラウンド下においてデータ収集が継続されており、解析手法の改良等により、更なる高感度でのニュートリノのマヨラナ質量への制限が期待されている。
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Strategy for Future Research Activity |
(抄録なし)
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Research Products
(3 results)