2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11J03283
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
熊谷 亘 東北大学, 大学院・情報科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 量子仮説検定 / 量子ガウス状態 / 複合仮説 / エンタングルメント / 二次漸近論 / 乱数生成 / 量子情報理論 / LOCC変換 |
Research Abstract |
本年度は大きく二つの問題に取り組んだ。ひとつはガウス状態に対する仮説検定に関するものであり、もう一つは純粋エンタングルド状態に対するLOCC変換の漸近性能の導出に関するものである。始めにガウス状態に対する仮説検定に関しての研究実績を述べる。本研究では複合仮説検定の問題を扱えるような手法を確立することが一つの目的であった。この点に関しては、量子系の群対称性を利用することにより問題を著しく簡単にする手法を発見した。これはガウス状態に関する仮説検定の問題に限らず、アメナブル群で記述される対称性を有する量子系に広く適用できるものである。これらの結果をまとめることにより、ガウス状態の仮説検定の問題に関して最適な検定手法を導出した。さらにそれらの光学系での実際の実験方法の提案を行った。次に純粋エンタングルド状態に対するLOCC変換の漸近性能の導出に関して研究実績を述べる。漸近誤差ε以下でn個の純粋エンタングルド状態ψからLOCCによって生成できるEPRの最大個数Lnの漸近公式を求め、かつその形であれば漸近誤差をε以下にできるようなLnを導くことができた。この問題に関しては、古典情報理論で一様乱数生成の問題に対して用いられた情報スペクトル的な手法を適用することで明示的な漸近公式を導出できることを示した。その後、さらに独立同一な量子状態に対してではあるが、この問題の一般化も考察した。すなわち、既存研究では近似・生成したい量子状態としてEPR状態という特定の状態に焦点をあて研究がなされてきたが、それを一般の状態に拡張した場合にも同様の漸近公式を導出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
ガウス状態に対する検定問題において、最適な検定方法を導出できた。さらにその検定方法を実現する実験装置の提案も行った。またエンタングルメント抽出及び希釈のLOCCによる変換レートを情報スペクトル的な手法で導出できた。
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Strategy for Future Research Activity |
一般の純粋状態間のLOCCによる変換レートを導出する。情報スペクトル的な方法では今のところ見通しが立っていないので、独立同一な純粋状態という制限の下で解析を進める。
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