2012 Fiscal Year Annual Research Report
ミリ波を利用した木材の非破壊試験 「ミリ波に対する木材の透過特性」
Project/Area Number |
11J03453
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
田中 聡一 京都大学, 農学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ミリ波 / 木材 / 非破壊試験 / 誘電異方性 / 年輪構造 / 回折 |
Research Abstract |
申請者は、木材の非破壊試験の新しい手段として、ミリ波(周波数30~300GHzの電磁波)に着目し、代表的な周波数である100GHzミリ波(波長3mm)について木材の非破壊試験への応用の可能性を明らかにしてきた。平成24年度は、既往の検討内容の中からさらに以下の2つのテーマに絞り込んで検討した。 (1)木材の構造と100GHzでの誘電異方性の関係を明らかにするために、木材の板目試料の誘電異方性を自由空間法によって測定し、密度との関係を調べ、木材を木材実質と孔(空気)の誘電混合体としてとらえたモデルによる説明を試みた。その結果、100GHzにおける木材の誘電異方性が孔の配列に起因すること、および放射組織のような解剖学的構造にほとんど影響されないことがわかった。さらに、板目試料を用いた誘電パラメータの測定について、自由空間法が有効であることがわかった。このメカニズムの解明により木材の誘電異方性を密度の指標とする新しい非破壊試験手法を確立できた。 (2)木材を透過したミリ波の挙動に及ぼす年輪の影響を明らかにするため、さまざまな年輪構造を有する樹種について厚さ2mm、含水率11%の板目およびまさ目試料を用意し、それらを透過した100GHzミリ波の複素振幅分布を測定するとともに、それらの密度分布をX線透視法により測定した。その結果、密度変動が大きく、かつ早材幅がミリ波の波長(3mm)に近いかそれよりも広いまさ目試料でのみ、振幅と位相は試料がない場合と比べて大きく変形した。これらの結果は、ミリ波の直線伝搬と回折理論を組み合わせて構築した伝搬モデルによって良好に説明でき、ミリ波は試料の密度分布によって変形されたあと、回折によってλより短周期の変形成分を失うことが結論付けられた。これによりミリ波はX線と比べて透過像の分解能が低下するメカニズムが明らかとなり、ミリ波による木材透過像の分解能向上の手がかりをつかんだといえる。
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Research Products
(5 results)