2011 Fiscal Year Annual Research Report
神経発達期のウイルス感染により誘発される神経精神障害の分子機構に関する研究
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11J03454
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Research Institution | Meijo University |
Principal Investigator |
衣斐 大祐 名城大学, 薬学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 神経発達障害 / PolyI:C / IFITM3 / 統合失調症 / 自閉症 / アストロサイト / エンドサイトーシス / 神経-グリア相互作用 |
Research Abstract |
周産期のウィルス感染が統合失調症発症リスクを高めることが知られているが、その分子メカニズムは明らかにされていない。これまでに新生仔期マウスにtoll-like receptor 3アゴニストpolyI:Cを処置することで周産期ウィルス感染モデル動物の作製を行なった(Ibi et al.,2009 Neurosci Res)。新生仔期polyI:C処置マウスで認められる脳機能障害にはアストログリア細胞のインターフェロン誘導性膜貫通タンパク(IFITM3)による神経細胞-アストログリア細胞相互作用の破綻が関わっていることを明らかとした(未発表データ)。平成23年度は、polyI:C処置マウスの大脳皮質第2-3層の錐体細胞樹状突起発達異常におけるIFITM3の役割をGolgi染色法により調べた。PolyI:C処置マウスは成熟後、樹状突起複雑度およびスパイン数の低下が認められるが、ifitm3ノックアウトマウスではそのような神経発達異常は認められなかった。さらにIFITM3の病態生理学的意義を明らかにする為にまずIFITM3の細胞内局在を免疫染色法を用いて調べたところ、IFITM3は、早期エンドソームにおいて高い発現が認められた。早期エンドソームの機能の一つとしてエンドサイトーシスが知られているため、IFITM3がエンドサイトーシスに与える影響を、 IFITM3過剰発現COS7細胞に蛍光標識されたトランスフェリン(Tf)および上皮増殖因子(EGF)を処置し、その取り込みを調べた。IFITM3過剰発現はコントロールと比較して有意にTfおよびEGFの取り込みを抑制した。IFITM3はアストログリア細胞において受容体を介するエンドサイトーシスに関与していることが明らかとなった。IFITM3下流に存在する液性因子(神経細胞-グリア細胞相互作用破綻を引き起こす分子)の同定は平成23年度の実施計画であったが、完了困難であったため次年度の完了を試みる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
日本学術振興会からのサポートにより生活を心配することなく研究に没頭できる為、当初の計画通り研究は進んでいるが、IFITM3下流に存在する液性因子の網羅的解析は平成23年度中に完了できなかったため、平成24年度に試みる。今後は少しペースを上げて研究を進め、研究期間中に論文にまとめる予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、IFITM3の相互作用分子を同定し、さらにIFITM3発現に伴い誘導される液性因子の同定も行う予定である。それによって発達期のウィルス感染により引き起こされる神経発達障害の分子メカニズムが詳細に明らかにでき、それにより新たな分子標的治療薬開発の礎を築くことができると期待している。
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Research Products
(10 results)
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[Journal Article] Behavioral alterations associated with targeted disruption of exons 2 and 3 of the Disc1 gene in the mouse2011
Author(s)
K Kuroda, S Yamada, M Tanaka, M Iizuka, H Yano, D Mori, D Tsuboi, T Nishioka, T Namba, Y Iizuka, S Kubota, T Nagai, D Ibi, R Wang, A Enomoto, M Isotani-Sakakibara, N Asai, K Kimura, H Kiyonari, T Abe, A Mizoguchi,M Sokabe, M Takahashi, K Yamada, K Kaibuchi
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Journal Title
Human molecular genetics
Volume: 20
Pages: 4666-4683
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Matrix metalloproteinase-9 contributes to kindled seizure development in pentylenetetrazole-treated mice by converting pro-BDNF to mature BDNF in the hippocampus2011
Author(s)
H Mizoguchi, J Nakade, M Tachibana, D Ibi, E Someya, H Koike, H Kamei, T Nabeshima, S Itohara, K Takuma, M Sawada, J Sato, K Yamada
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Journal Title
Journal of Neuroscience
Volume: 31
Pages: 12963-12971
DOI
Peer Reviewed
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