2011 Fiscal Year Annual Research Report
高次元SUSY-GUT理論を用いた現象論的、宇宙論的モデルの構築
Project/Area Number |
11J03466
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
酒井 学 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | SUSY |
Research Abstract |
今年度は主に超対称性の破れとインフレーション模型とが関連した現象論的なモデル構築について積極的に取り組み成果を上げた。本研究の目的は、現象論的に好ましい超対称性を破る模型と宇宙論的に好ましいインフレーション模型を一つの模型の中で両立することにある。これら双方を同時に両立することによって非常に見通しがよくモデル作りが可能になると考えられる。 今回構成した模型は、オラファテモデルと呼ばれる超対称性が破れる非常にシンプルな模型であり、インフラトンはこのオラファテモデルの中の場と同定され、ハイブリット型のインフレーションが実現される。この模型の特徴として以下の2点がある。 1 模型には超対称性を破る真空と超対称性を保つ真空が存在するが、インフレーションがうまく引き起こると自然に超対称性を破る真空が選ばれる。 2 インフレーション後の再加熱時に現在の観測によって許される量よりも多くのグラビティーノ(この模型でのダークマターはグラビティーノである)が生成されるが、超対称性の破れに伴って存在するシュード・ゴールドストーンボソンの振動により観測的に矛盾しない量まで薄められることにある。 高エネルギーの物理現象であるインフレーションと比較的低エネルギーの物理現象である超対称性の破れが一つのシンプルな模型内で実現することができるという点で非常に興味深い結果を得た。 これらの業績については論文誌への掲載はもとより、研究会での発表や北海道大学へのセミナーの招待という形で評価されている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の研究は、宇宙論的な応用の部分が主であったので、弦理論との関連についての研究があまり進んでいないため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、これまで構築した模型とLHC実験等のデータとを比較し、模型に改良を行う それとともに、弦理論への埋め込みについても研究を行う。
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